今日は、Uチップ、Vチップの革靴(靴、シューズ)を取り上げます。《最終更新日: 2011年2月19日》
Uチップとは、Vチップとは
Uチップとは、甲部分にU字型のステッチ(モカシン縫い)が入った革靴のこと。基本的にはカジュアル寄りの靴でして、いろいろな考え方があるでしょうが私は積極的にはビジネススーツに合わせようとは思わないですね。
また爪先のステッチが少しとがった靴を、その形状からVチップと呼ぶことがあります。爪先の先端の縦割りのステッチも含めて、Yチップと呼ぶこともあるみたい。
モカシン縫い(モカ縫い)の種類
モカシン縫い(モカ縫い)にはいろいろ種類がありまして、私もあまり詳しくないのですが以下のような資料がありました。この説明はいろいろなところで見るのですが、元ネタはなんだろ。
なお、モカシン縫いはUチップだけでなく、ローファーやデッキシューズなどにもよく見られます。
一番一般的なのが、合わせモカかな。乗せモカはステッチが目立たないものが多く、ドレッシーな雰囲気。すくいモカは見せかけのモカ縫いで、飾りモカとも呼ぶみたい。
爪先の先端の縦割りのステッチは、あるものとないものがあります。強いて言えば、ステッチのないものはちょいカジュアル寄りかな。
なお一般的に、モカ縫いがゴツゴツしたものはカジュアル寄り、モカ縫いがスッキリしたものはドレス寄り、という区別ができると思います。
各国のUチップの特徴、呼称(呼び方)
各国のUチップの特徴を、私なりに次にまとめてみました。
あと「Uチップ」は和製英語でして、それを各国でどう呼んでいるかも少しまとめてみました。呼び方はバラバラなんですよね。「Uチップ」は、便利な言葉だと思いますよ。
- イギリス
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紳士の国イギリスでは、やはりUチップも細身でドレッシーなものが多いです。代表作は、やはりエドワード・グリーン(Edward Green)のDover(ドーヴァー、ドーバー)でしょうねぇ(ライトアングルステッチ・モカ縫い)。
Uチップの呼称ですが、Norwegian(ノルウィージャン)をよく見かけるような。Apron Front(エプロン・フロント)という表現もあります。ほら、U字の部分がエプロンみたいじゃないですか。
- アメリカ
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アメリカっぽいUチップとしては、まずゴツゴツした縫い目のすくいモカ(飾りモカ)のものが挙げられます。オールデン(Alden)のNorwegian Front Blucherとかアレン・エドモンズ(Allen Edmonds)のBradley(ブラッドレー)とか。カジュアル寄りの靴です。
あと、オールデンのAlgonquin Blucher、つまり乗せモカ仕様のVチップのような靴もよく見かけます。こちらはステッチが目立たないので、ドレス寄りかな。
アメリカの得意なワークシューズやデッキシューズ、キャンプモカシンのような靴にも、広義のUチップと呼べそうな靴が多いと思います。
Uチップの呼称ですが、Mocc Toe(モック・トウ)とかSplit Toe(スプリット・トウ)とかNorwegian Front(ノルウィージャン・フロント)とかAlgonquin(アルゴンキン)とか、いろいろ。使い分け方はよく分かりません……。
- フランス
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フランスのUチップというと、まずはJ・M・ウエストン(J.M. Weston)のLe Golf(ゴルフ、641)や、パラブーツ(Paraboot)のChambord(シャンボー)のような、コロンとした丸いシルエットのUチップが思い浮かびます。
もうひとつの代表が、J・M・ウエストンの598(Demi-Chasse、Split Toe Double Sole Derby)のような乗せモカ仕様で少しドレッシーなUチップ。この手のUチップは、爪先の先端の縦割りステッチが長めで、エプロン部分が小さめなのが特徴かな。
いずれにせよ、私はフランスはUチップ大国だと思うなぁ。フレンチ・カジュアル、フレンチ・トラッドには、Uチップは欠かせません。スーツにも合わせちゃう?
- イタリア
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イタリアのUチップは、モカ縫いがスクエアの(四角い)ものが多い印象があります。ストール・マンテラッシ(Sutor Mantellassi)みたいなヤツ。ローファーのモカ縫いも四角かったり。逆に、まあるいモカ縫いのヤツもあるんですよね。
イタリア人も、結構Uチップが好きみたいです。
Scotch Grain(スコッチグレイン)
スコッチグレイン(Scotch Grain)は、1964年創業のヒロカワ製靴のマジメな靴ブランド。堅牢なグッドイヤーウェルト製法を得意としていて、今日紹介している靴も全部そうです。
959は、スコッチグレイン最高峰のインペリアル・プレスティージ(Imperial Prestige)シリーズのUチップ。まるでジョン・ロブ・パリ(John Lobb Paris)みたいな風格のある英国風の靴に仕上がっていると思います。革底(レザーソール)仕様で木製シューツリー付き。
3789は、端正なラウンドトウの木型が魅力のインフィニティ(Infinity)シリーズのUチップ。このシリーズの靴は、なかなかオススメです。革底。






919は、インペリアルに次ぐ高級シリーズであるオデッサ(Odessa)シリーズのダブルモンク。このシリーズの大きな特徴は、木型のwidth(ウィズ、ワイズ、足幅)が細いこと。ほかのシリーズはほぼ "3E" なのですが、オデッサは "E" なのです。919はイタリア風のUチップですね。革底仕様。
4229は、シャイン・オア・レイン(Shine or Rain)シリーズのUチップ。撥水カーフにテクノソールという仕様で、雨に強い仕上がりになっています。ゆったりめの "4E" の木型を使用。
Jalan Sriwijaya(ジャラン・スリウァヤ、スリワヤ、スリウィジャーヤ)
Jalan Sriwijaya(ジャラン・スリウァヤ、スリワヤ、スリウィジャーヤ)は、1988年に誕生したインドネシアの靴ブランド。オーナーはイギリスで修行した人だそうで、比較的お手頃価格で本格的なグッドイヤーウェルト製法の靴をつくっていることで定評があります。
こちらは、11120というスマートなラウンドトウの木型を採用したUチップ。ドレッシーなゴム底(ラバーソール)であるダイナイト・ソール(Dainite Sole)を使用していて、全天候で使えます。ちょっと無骨なモカ縫いなので、Gジャン(ジージャン)にチノパンツみたいな格好に合わせても面白そう。



Meermin(メルミン)
メルミン(Meermin)は、2002年に誕生したスペインはマヨルカ(マジョルカ)島の靴ブランド。比較的新しいブランドですが、スペイン靴の名家であるアルバラデホ家が携わっているのでぽっと出という感はないですね。
こちらは、ポッテリしたシルエットのUチップ。欧州某国軍のオフィサーシューズを基にデザインされたそう(メルミンでは実際に欧米各国の軍向けにオフィサーシューズをつくっているとのこと)。型押しレザーが渋くて良いですねぇ。フレンチ・トラッドに合わせたくなる逸品です。ダイナイトソール風のドレッシーなゴム底仕様。






一方こちらは、よりドレッシーな雰囲気のUチップ。なんと言っても半カラス仕上げのヒドゥンチャネル仕立ての革底が格好良くて、これはもう少し上の価格帯の靴に見えますね。
いずれも、堅牢なグッドイヤーウェルト製法です。
Union Royal(ユニオン・ロイヤル)のUnion Imperial(ユニオン・インペリアル)
ユニオン・ロイヤル(Union Royal)は、1952年創業の日本の老舗靴メーカー。ユニオン・インペリアル(Union Imperial)は、ユニオン・ロイヤルの最高峰ラインです。
ユニオン・インペリアルの中でも特に注目なのが、手作業によりウェルトを縫い付けるハンドソーン・ウェルト製法(九分仕立て)を使用したライン。グッドイヤーウェルト製法の原型的な製法で、グッドイヤーウェルト製法特有の履き心地の固さがないのが利点です。手作業のすくい縫いは中国、出し縫い(これは機械かな?)と仕上げは日本で行うことで、この値段を実現させているのだそうな。
U1304は、簡略化されたハンドソーン・ウェルト製法でつくられたUチップ。そのぶんちょっとお値段もお手頃になるみたい。デザインはラウンドトウで合わせモカ仕様のUチップで、木型はラウンドトウのS122のゆったりめの4E。凝った意匠の革底にも注目です。



Lord Charles(ロード・チャールズ)
ロード・チャールズ(Lord Charles)は、お手頃な値段のイギリスの靴ブランド。英国靴入門にいかが? お手頃といっても、しっかり革底でグッドイヤーウェルト製法です。
4849は爪先の先端の縦割りステッチが長いので、私にはフランス風に見えるなぁ。イギリス製ですけど。今こういう雰囲気でお手頃価格の靴は意外とないので、狙い目かも。
TOMODAのパーソナルオーダー(宮城興業)
どうしても既成靴では足が合わない人や、気に入った色のものがない人は、靴屋TOMODAのパーソナルオーダーシステム、誂え靴「友郎(Tomorow)」はいかがでしょう。
甲革(アッパー)の色や素材、や靴底(ソール)の形式が選ぶことができるのはもちろんのこと、サイズもlength(足長)だけでなく、width(足囲、ワイズ)も選択できます。なんと、D、E、EE、EEE、EEEE、Fの、6種類!
注文するときにはサンプルシューズ(ゲージ靴)が送付されて試し履きができるので、通販でも安心です。製法はもちろんグッドイヤーウェルト。チゼルトウのものもありますが、オススメはラウンドトウ。非常に正統派のデザインで、長く愛用できること間違いなし!
ES-13(敏)、ES-14(栄)、ES-15(昭)は似たようなUチップですが、強いて言えばES-13はフランス風、ES-14はイギリス風、ES-15はちょいカジュアル、という感じかな。
値段についても、パーソナルオーダー(パターンオーダー)にしてはたいへん良心的だと思いますよ。
なおここのオーダーシューズは、宮城興業の工場でつくられています。靴好きには結構有名なところです。
Paraboot(パラブーツ)のChambord(シャンボー、シャンボールド、シャンボード)、Avignon(アヴィニョン、アヴィニヨン)
質実剛健ながら上品な顔立ちの靴で定評あるパラブーツ(Paraboot)は、1919年創業のフランスの靴ブランド。
代表作のUチップであるChambord(シャンボー、シャンボールド、シャンボード)は、コロンとした顔付きでフランスの顔的存在の靴のひとつ。そのほか、ドレス寄りの木型のAvignon(アヴィニョン、アヴィニヨン)などもあります。
Crockett & Jones(Crockett and Jones、クロケット&ジョーンズ、クロケット・アンド・ジョーンズ)のMoreton(モールトン)
実用靴の最高峰ブランドともいえるクロケット&ジョーンズ(クロケット・アンド・ジョーンズ、Crockett & Jones、Crockett and Jones)は、1879年創業のイギリスの靴ブランド。
英国のUチップにしてはカジュアル寄りのMoreton(モールトン)は、クロケット&ジョーンズの靴の中でも人気の高いモデルのひとつ。着こなしの幅も広そうです。
Loake(ローク)のRugby(ラグビー)
英国王室御用達(ロイヤルワラント)でありながらモッズな人たちにも愛されたローク(Loake)は、1880年創業のイギリスはノーザンプトンの老舗靴ブランド。
Rugby(ラグビー、L-703)は、いかにも英国的な雰囲気のセミスクエアトウのUチップ。ジャケパン(ジャケット+パンツ)スタイルの良き相棒になってくれそうです。
Grenson(グレンソン)のTweed(ツイード)、Kennet(ケネット)
アルマーニなどの靴も手がけたことのある老舗の名門であるグレンソン(Grenson)は、1866年創業の英国靴ブランド。
スクエアトウのUチップであるTweed(ツイード)やDarlington(ダーリントン)は、ちょっとイタリア風かな。カジュアル寄りのラウンドトウのKennet(ケネット)もあります。
Cheaney(チーニー)
2009年についにチャーチから独立したチーニー(Cheaney)は、1886年創業のイギリスの靴ブランド。チャーチの創業家(今はチャーチから離れている)の人が買い取ったのだそうな。
木型(ラスト)3888のR674とR675は、英国靴らしくドレッシーなUチップ。この顔付きなら、比較的スーツにも合わせやすいでしょう。
Russell Moccasin(ラッセル・モカシン)
モカシンの代表的ブランドといえそうなラッセル・モカシン(Russell Moccasin)は、1898年創業のアメリカのアウトドアシューズブランド。
短靴のアウトドアモカシンであるFishing Oxford(フィッシング・オックスフォード)は、この手の靴としては比較的落ち着いたデザインの靴といえます。
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追記
- (2009年8月30日)商品を追加、入れ替え。
- (2011年2月19日)2010年度秋冬最初の更新。
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