今日は、レザーグローブ(革手袋、手ぶくろ)、ニットグローブを取り上げます。《最終更新日: 2019年12月22日》
手袋(手ぶくろ)いろいろ……
手袋にもいろいろありますが、ファッションとしての男性用手袋はレザーグローブとニットグローブが代表格でしょう。
- レザーグローブ(革手袋)
文字どおりレザー(皮革)製の手袋。どちらかというとビジネス、フォーマル寄りですが、カジュアルにももちろん合わせられます。
使われる皮革の種類としては、柔らかく使いやすいシープレザー(ラムスキン、羊革)、表面のシボが格好良く丈夫なディアスキン(鹿革)、毛穴が目立って野趣にあふれるペッカリー革(イノシシ類の革)、スエード(スウェード)などがあります。
裏地にはウールやカシミア(カシミヤ)などがよく使われます。裏地なし(アンラインド)のものもありまして、防寒性は劣りますが指へのフィット感、そして耐久性には優れます(裏地はどうしても傷むので)。
ちなみに、皮革の表面がスムースで、裏地なしの一枚革で、ステッチがあまり目立たないもの(内縫い、インシーム)が最もフォーマルといえます(色はもちろん黒)。
それでは、レザーブローブの着こなしをいくつか。印象的な色のレザーグローブを使って、着こなしのアクセントにするのもオツでしょう。
- On the Street….Gloves - The Finishing Touch, Florence - The Sartorialist (Wayback Machine)
- Green Gloves, Florence | The Sartorialist
コートなどのポケットに入れて、ポケットチーフのように使うワザもあります。
- ニットグローブ
ウールやカシミア(カシミヤ)などを編んでつくった手袋。基本的にはカジュアル用です。
でも、私はニットグローブをスーツに合わせていたことがありますよ。あまりモコモコしていなくて地味なものを選べば、そんなに違和感がなかったかなぁ……。まあ、正当な着こなしとはいえませんけど。
スーツにドレスコートを合わせたなら(特にウールのコート)、手袋は必需品だと思います。防寒という意味ももちろんありますが、コートからのぞく手が素手だと見た目も寒々しいのですよ。フォーマルスタイルのときは特に気を付けたい……。
ちなみに手袋の数え方は、左右そろいで「1双、2双」と数えるそうですよ。メモメモ……。
最後に服飾評論家の出石尚三さんに、手袋についてのウンチクを教えていただきましょう。
レザーグローブのサイズ
レザーグローブのサイズについて、少々。
甲の周りの長さを測りまして、それを「インチ」(1インチ=2.54センチメートル)に換算したものがレザーグローブのサイズの基本です。ざっくり言いましてサイズ表記 “8” がだいたい “M” 相当の大きさと考えてよいでしょう。
レザーグローブは着用しているうちに伸びますので、ちょっとキツめを選ぶのがコツ。ブカブカなのはイマイチ格好悪いとされています。
Dents(デンツ)
レザーグローブといえば、1777年創業のイギリスの老舗中の老舗、デンツ(Dents)を語らないわけには参りません……。
別記事で特集していますので、そちらをご覧ください。デンツのペッカリーグローブは、いつかは手に入れたい逸品です。
Black Sheep(ブラック・シープ、ブラックシープ)
ブラック・ウェルシュ・マウンテン・シープを使用したニット製品をつくっているブラック・シープ(ブラックシープ、Black Sheep)は、1996創業のイギリスのニットブランド。脂分が多く保温性の高いニットです。
ボリュームのある温かいニットグローブをお探しなら、このブラック・シープのものをオススメ。色展開も豊富。しかも、イギリス製なのに意外にお手頃価格です。
Johnstons(ジョンストンズ)
カシミア製品が得意なジョンストンズ(Johnstons)は、1797年創業のイギリスはスコットランドの老舗高級ニットブランド。
お得意のカシミアを使った、かわいいニットグローブもつくっています。このブランドにしては、比較的お手頃価格です。
Brooks Brothers(ブルックス・ブラザーズ)
ブルックス・ブラザーズ(Brooks Brothers)を別記事で大きく取り上げていますが、アメトラ(アメリカン・トラッド)の雄のブルックス・ブラザーズには手袋もあります。
「ラムスキン カシミヤライニング グローブ」は、羊革を使用した手袋。裏地はカシミアで、まさに基本の仕上がり。イタリア製。
「ディアスキン カシミヤライニング グローブ」は、シボがあって男らしい鹿革の手袋。裏地はカシミアです。イタリア製。
「レザー シャーリング グローブ」は、カジュアルな仕上げが施されたシープスキンのムートン(シアリング)の手袋。裏面はフワフワで、温かさで選ぶならこれでしょう。これはイギリス製。
ニットグローブもありまして、フェアアイルやバッファローチェックなど楽しい柄がそろいました。
そうそう、セール(クリアランス、Clearance)になっている商品があるかもしれませんので、そちらも見てみてください(別ページにあります)。なおブルックス・ブラザーズ・オンラインショップでは、商品到着後8日以内なら未着用の場合に限り返品・交換が可能です。
Chester Jefferies(チェスター・ジェフリーズ、チェスター・ジェフリー)
チェスター・ジェフリーズ(チェスター・ジェフリー、Chester Jefferies)は、1937年創業のイギリスの手袋ブランド。シューティングやバイク用の手袋を得意としているブランドのようで、スポーティーでカジュアルな雰囲気のものが多いのです。『タイタニック』などの映画にも使われたそう。イギリス製。
イギリスの高級皮革メーカーであるピタード(ピッターズ、Pittards)社の柔らかいケープスキン(羊革)をよく採用していまして、通気性と撥水性、伸縮性に優れている素材とのこと。
6148/WR1は一見普通のドレスグローブですが、指先に革のパッチを付けて補強してあります。こういうところがこのブランドらしいところ。実用的な意味はもちろんのこと、ドレスすぎない雰囲気が使いやすいのでは。表地はケープスキンで裏地は肌触りの良いシルク(絹)。
Newberry Knitting(ニューベリー・ニッティング)
ニューベリー・ニッティング(Newberry Knitting)は、1946年創業のアメリカ東海岸のニット製品ブランド。ニットの小物類を得意としています。
ニットグローブはいろいろつくっていますが、主力なのがウールナイロンのニットに滑り止めとして鹿革を貼り付けたもの。鹿革は見た目のアクセントにもなっています。フィンガーレスグローブも。アメリカ製ですけどけっこうお手頃価格。
Alpo Guanti(アルポ)
プラダやジル・サンダーなどの手袋も手掛けるアルポ(Alpo Guanti)は、1903年創業のイタリアの老舗手袋ブランド。
老舗にしては素材やデザインについては柔軟に考えているブランドのようで、ドレス寄りのグローブはもちろん、ニットグローブにも定評があります。
Madova Gloves(マドヴァ、マドバ)
ベッキオ橋(ヴェッキオ橋)近くに小さな販売店を構えるマドヴァ(マドバ、Madova Gloves)は、1919年創業のイタリアはフィレンツェの手袋専業ブランド。
レザーグローブなら、このイタリアブランドもぜひ候補に入れてください。フォーマルなものからカジュアルなものまで、各種そろっています。デンツと比べるとフィッティングはタイトみたい。カピバラ(カルピンチョ)素材のものにも注目です。
Gloves by Fratelli Forino(グローブス)
ジョルジオ・アルマーニ(Giorgio Armani)などの一流ブランドの手袋も手掛けてきたグローブス(Gloves by F.lli Forino)は、1899年創業のイタリアはナポリの手袋ブランド。
オーソドックスなレザーグローブが充実しているのはもちろん、メッシュやキルティング、ウールとのコンビといったセンスのいいレザーグローブも充実しています。値段的にも、結構狙い目なんじゃないでしょうか。もちろんイタリア製。
無印良品(Muji)
庶民の味方(?)、無印良品(Muji)。お手頃価格が魅力です。
非常にお手頃価格の無印良品のニットグローブは、ひそかにファンが多いんじゃないでしょうか。ラムスキンとニットのコンビの手袋も毎年人気があります。
他の記事も……
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追記
- (2006年12月10日)2006年度秋冬最初の更新。
- (2007年12月27日)2007年度秋冬最初の更新。
- (2008年12月31日)2008年度秋冬最初の更新。
- (2010年1月11日)2009年度秋冬最初の更新。
- (2011年1月3日)2010年度秋冬最初の更新。
- (2011年12月29日)2011年度秋冬最初の更新。
- (2013年1月9日)2012年度秋冬最初の更新。
- (2013年12月27日)2013年度秋冬最初の更新。
- (2014年12月21日)2014年度秋冬最初の更新。
- (2015年12月20日)2015年度秋冬最初の更新。
- (2017年1月9日)2016年度秋冬最初の更新。
- (2017年12月24日)2017年度秋冬最初の更新。
- (2018年12月21日)2018年度秋冬最初の更新。
- (2019年12月22日)2019年度秋冬最初の更新。
この記事へのコメント
ケロリン2
とっても素敵な内容です。これからじっくり拝見します。
ポーチュガル、スウォッチ、REGALいいですね~!
時代の近さを感じます。オシャレしたくなる内容ですね。
靴のメンテナンスを検索していてこのサイトにやってきました。
主に車のブログですが、よろしければご覧ください。
少しですが、カテゴリーの中に 定番 オトナの少年グッズなどでファッション関係もあります。
さて、リクエストと言うか、教えて欲しいのです。スーツ、コートを着たときに皮の手袋をしているのですが、当方は手が小さく指も短いので、オーダーで作りたいと思うのです。情報があれば、ぜひ、取り上げてください。
もう1つ、革靴のコバの手入れが良く分かりません。ご存知でしたら、取り上げてください。
では、またお邪魔します!
blackwatch
ブログ拝見しました。501のグラデーション(?)が綺麗ですね!
オーダーのレザーグローブですか。鋭い質問です(汗)。
実は私も指が細くて、手袋のオーダーをしたいと常々考えているのですが、情報がないのです…。というか、まだ真剣に調査したことがないのですよね。
イタリアのMerolaあたりでそこそこ安く作れたらしいのですが、今はやってないのかな。というか、イタリアに行くのもシンドイですよね…。日本でいいところはないものか。靴ほど作るのは難しくないと思うのですが。
あと、コバですね。私の場合、お手軽にアッパー用の乳化性クリームをコバにも塗っているだけです。この手法はよくないという話も聞くのですが、まあいいかと。色落ちが気になるようでしたら、コバインキっていうのを使えばいいようです(ただし、私は使ったことがありません。そろそろ使っていいと思う靴もあるのですが)。
以上、あまりお役に立てなかったような気がします…。
kerorin2
また、おしゃれに目覚めたいと思います(笑)
ところで、これも、いつか取り上げて欲しいのですが、サイドゴアブーツ。
フォーマルとカジュアルに使えるアイテムだと思うのですが、なかなかデザインと値段の折り合いのつく商品にであえず、早○年・・・・。
では、また!
ところで、ブラックウォッチ様の名は、チェックのパターンからきてるのでしょうか?
blackwatch
サイドゴアブーツについては、いちおう少しは取り上げてはいます。
http://blackwatch.seesaa.net/article/3089660.html#G20050422_1B51LB
http://blackwatch.seesaa.net/article/9268354.html#G20051113_TRHNBN
サイドゴアブーツは、どちらかというと(アメトラというよりは)ブリティッシュな雰囲気なので、大々的には取り上げにくいかも…。もっとも、便利なブーツだとは思いますので、機会があれば紹介しますね。
"blackwatch" については、仰るとおりです。でも、勢いで決めましたので、特別深い意味はありません…。比較的好きな柄なのは確かですが。
sasa
プライスが約4000円の物と約1500円の物とがありますが、これは機能的に何か違うのでしょうか?例えば、安い方が一般的な冬用でそうではない方が厳寒地用など・・・。
blackwatch
フィンガーレスで安いのなら分かるのですが、レディースの普通のヤツでも安いのがありますね。
うーん、同じ商品に見えるのですが、どうかなぁ。お店の方にそれとなく訊いてみてはいかがでしょう。
sasa
レスありがとうございます。
一応?輸入品のようなので差があるのかな?とも思っちゃいました。
シンプルで自分好みのデザインなので是非手に入れたいアイテムです。
そうですね。それーとなく、訊いてみる事にします。
blackwatch
次回この記事を更新するときは、私も余裕があればその辺を調べたいとは思っております…。
私もニットグローブ、大好きです。何より、お手頃価格ですし…(汗)。
blackwatch
安いほうの型番はGL07でおそらく少し薄手、高いほうの型番はSM07等でおそらく少し厚手になると思います。