今日は、ユナイテッドアローズ(United Arrows、UA)の栗野宏文さんのコラムから。
皆さんもご存知と思いますが、今、世界的にファッション消費が減退気味です。実は日本以外の国はこれまでもそれほどファッション消費が盛んではなかったのですが、今、彼ら(海外のファッション業界人)の頼みの綱、元気だった日本までもがこのマイナス・スパイラルに入ってしまい、彼らとしては焦りを禁じ得ない状態、ということなのです。
多くの一般庶民もルイ・ヴィトンを持っている国みたいですから、日本は。
もともとヨーロッパやアメリカのファッション消費というのは富裕層や業界人、そしてファッション・ヴィクティムと呼ばれる層が中心となっており、日本のように一般の若者がファッションをライフ・スタイルの中に取り込んでいたり、趣味のひとつとしてファッションが存在していたりする、ということ自体が珍しい状態です。特に男性の場合。
よく言われることですが、欧米では男性でデザイナーズ物を着る「ノンケ」の人は少ないみたいですよ。ノンケの人は、たいていコンサバなファッション。
70年代中盤以降のファッション情報の普及(ポパイ等の雑誌の興隆)や、ヴァラエティー豊かなショップ群の誕生(所謂セレクト・ショップ)、そして学生がアルバイトをして、得た収入を自分の好きに使える状況(若者の可処分所得のありかた)…それらが日本のファッション消費を支えてきました。
日本ほど、(仕送りをもらっているような)学生がファッションにお金を使う国は他にないんじゃないでしょうか?(新興国はどうかな) 学生がディオールなんて、欧米では(パリス・ヒルトンみたいな人以外)ありえなさそう。
あとは、日本の場合、クラス社会ではない、という背景も大きい。ヨーロッパの場合は特に、生まれた家柄や階級、職業がそのひとの着るものを規定していくことが当たり前なのです。
日本のようにハンド・メイドのスーツを着ているひとが翌日はパンク・スタイルやデザイナー・ブランドを楽しんでいる、というスタイルは彼らには理解も想像もできないことでした。こうしてクラスレスであることも日本のファッションを支えてきました。
そのぶん、特にファッション初心者の人は何を着ていいのか悩んじゃうんですよね。あまりにも自由なんで。
つまり日本とは‘ファッションの民主化’が進んだ、‘ファッション先進国’なのです。
これは、私もそう思います。日本のファッションはあまりにも自由ですが、それは良いことですよ。このブログではコンサバファッションを推していますが、着たい人は積極的にデザイナーズ物を着る、結構なことではないですか。今後欧米でも、徐々にそういう傾向になるのかもしれません。
ただ、日本経済の将来を考えると、一部のお金持ちしかファッションに多くのお金を費やすことはできなくなりそう。高度成長期のような経済成長は見込めませんし、高齢化社会が進んで税金が高くなりそうですし。まあ、高度成長期からバブル期の日本が異常だったとも言えますが。
それでも、日本はファッション先進国の面は今後も保って欲しいな、とは思います。でも、そんな余裕のない社会になっちゃうかもしれませんね、将来の日本は…。少なくとも、(ラグジュアリー・ブランドとしての)ルイ・ヴィトン的な方向のファッションを志向しないほうが、幸せになれるのかも。
それでは。
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この記事へのコメント
ヤマ
老いも若きも五部やら七部のパンツだらけな最近の夏の郊外スタイルもすごいなとも思いますが、トレンドセッターがいわゆるセレクトショップ頼りではなくなってきてる気もします。
個人的にはラグジュアリブランドよりファストファッションSPAの成長をあなどりがちなのが一体どういうわけなんだろうと謎なところです。マス市場の割りにファッションの専門家による具体的な解説が少ない現状だとも思ってます。
blackwatch
上の記事はちょっと栗野さんにおもねった書き方になっているような気もしますが(汗)、オンとオフで服の雰囲気が違いすぎるのもアレかなぁとは思います。
ファストファッションは、日本でもこれからの服の市場を引っ張っていくのでしょう(ただ大人の男性服はどうかな)。UAもコーエン(Coen)ってのを出しますね。個人的には、H&Mよりもこっちを期待。
ヤマ
今秋の気分・・・あとはサイズかな。
blackwatch
商品イメージだと20代~30代にしてはちょっと若いかなとも思うのですが、まあいろいろな服があるんでしょう。
仰るとおり、サイズ展開や寸法といったサイズは気になりますね。
ヤマ
ディストリクトは46を中心にそれより大きいサイズはより大きく小さいサイズはより小さいようなので気になりますね。
blackwatch
イマイチ私の家から近い店がないのが残念なのですが、機会があったら見たいと思います。