今日は、またユナイテッドアローズ(United Arrows、UA)の栗野宏文さんのコラムから。2プリーツ(ツープリーツ)のチノパンツ(チノパン)について。
意外に新しい? チノパンツ(チノパン)
僕がこの業界に入った1970年代末期、日本に初めてチノパンツというものが登場しました。
意外に新しいアイテムなんですね。実は『絵本アイビーボーイ図鑑』にも、「チノパンツ」という言葉は登場していないようです(ざっと見た感じ)。
もっとも、他のコットンパンツは穿かれていたでしょうし、アメリカではもっと前からチノパンツが穿かれていたとは思いますが。ちなみにチノパンツは、元々軍隊で穿かれていたパンツが民間に広まったものみたい。これもミリタリーアイテムなのです。
2プリーツ(ツープリーツ)のチノパンツの登場
さて、件のチノパンツですが、よく売れたと同時に、徐々にヴァリエーションも出てきました。ノープリーツ一辺倒から2プリーツへ、そしてカラー展開へ…。
そんな時代、今でもよく覚えているのが2プリーツのデザインが流行り、定着した頃に起きた大論争です。それが‘イン・プリーツVSアウト・プリーツ論争’。
イン・プリーツとはプリーツが内側に向かって開いているスタイル、アウト・プリーツとはその逆で外側に向かって開かれたプリーツのこと(正式名称かどうかは不明…)です。
当初、多かったのはイン・プリーツでした。ところがNYトラッド派がどんどん進化し、ヨーロッパ的なフィーリングを取り入れていくにつれ、アウト・プリーツが増えていったのです。
どちらかと言えば、クラシックでマニッシュなのがイン・プリーツ、洒落て、洗練されていたのがアウト・プリーツという感じ。
私の印象では、ブリティッシュスーツのパンツはやはりクラシックにインプリーツ、その他のヨーロッパやアメリカではアウトプリーツが多いように思います。
2プリーツの没落
その後、フレンチ・アイビーやクラシコ・イタリアブームを経て、プリーツ入りのチノパンツはすっかり影が薄くなったとのこと。
私がプリーツ入りのカジュアルパンツを最後に穿いたのは、1980年代末ですね。それ以降は穿いていません。ただしビジネススーツは、I型以外はプリーツ入りのパンツを穿いていましたよ。
と言うか‘ツータック’という名の、繊細なシルエットや凝ったディテールを無視したオヤジ・パンツが、世の中を席捲してしまったのです! ‘ツータック’おぞましい響きですネエ…。
「タック」("tuck")にも「ひだ」という意味があるのですが、英語では男性用パンツに対しては用いない言葉のようですね。つまり、「ツータック」は和製英語。英語では、「プリーツ」(「プリート」、"pleat")が正しいみたい。
2プリーツの復権?
で、プリーツ入りのチノパンツが履きたくなった僕はディストリクトのスタッフと企画者のDr. Sに提案したのです。‘久々に2プリーツのチノ・パンツやりませんか?’と。
2プリーツが流行らなくなってからもう20年近く経ちましたから、そろそろプリーツ入りパンツが復活してもいい時期かもしれません。…とか過去に何回か言いつつなかなか流行らないですが(汗)、今度こそ?
着こなしについては、紺ブレ(3つボタンよりも2つボタンが似合う)や、Gジャン(ジージャン)やブルゾンのような丈の短いアウター、それにバスクシャツあたりが面白そう。
ちなみに、痩せっぽちの私は似合わないので、当分2プリーツのパンツは穿かないだろうなぁ。もう少し流行れば、検討するかな。流行には、少々似合ってなくてもそれなりに見せてしまう力があります。
それでは。
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この記事へのコメント
ヤマ
さてTWOタックといえば自分(恐らくブラックウオッチさんも)は学生ズボンで懐かしいです~いかにガタイよく見せるかで競ってはいてた連中もいましたがそこから現在まで履き続けているお方も一巡したわけですよね~(メタ笑い)結構自分はシャバめでやや太ストレートも好きでしたしすそは狭めなサルエル調のボンスリってやつでしょうかもなかなか高感度高めでした。
ディオールオムでハマーパンツも出してるようでこれからクリノさんの言うとおりTWOプリーツ狩とか乱闘再びですかね~(本気)
ブラックスーツ
これで無理してノープリーツを穿く必要もなくなり、おっさんだとか、
あのヒダの意味が分からん、とか言われずに済むんですね。
流行らなくてもいいから、普通の目で見られる存在になって欲しいです。
blackwatch
そう言えば、私が一番熱心に2プリーツのパンツを穿いたのは、高校時代の学生服かも(汗)。もしかして今の若い人には、生まれてから一度もプリーツ入りパンツを穿いたことのない人が少なくないのかな。
ブラックスーツさん、こんにちは。
パリコレ等ではこの手のパンツはもう珍しくないですから、人気が出るのは時間の問題だと思われます。どのくらい流行るかは分かりませんけど。私が普通体型だったならば、たぶんもう穿いているでしょう。
ちなみに、私が「そろそろ人気が出るかも」と書いたとき、実際に流行るのはだいたいその2、3年後くらいみたいです(何となく経験則から)。私が最初に2プリーツのことに触れたのは結構前なので、もうそろそろかと(来年くらい?)。
k-d-hide
自分が考えていたよりは、意外と早いかも。
チェックシャツもそうですけど、かつて「ダサイアテム」なんて言われてきた服がどんどん復活してきてますね(ポロシャツやマウンテンパーカ等)。
「Gジャン+チェックシャツ+ツータックチノ+モカシンシューズ」なんて古臭い格好も、今やると新鮮かも知れません。
それにしても、栗野氏の着こなしはカッコイイですね。
太いチノパンに細めのサックスブルーのシャツ、足元はホワイトバックスですか。
微妙な「ダサカッコ良さ」がカッコイイです。
ところで、栗野氏の言う「ツープリーツ」と「ツータック」の違いって、何でしょうね?
blackwatch
ツープリーツは、今季(秋冬)はまだ扱いが少ないですね。雑誌でもまだあまり見ないですし。本格的に復活するのは、来季以降でしょう。
「ツープリーツ」と「ツータック」って、単に呼び方の違いだと思いますよ。「ワイシャツ」か「カッターシャツ」か「ドレスシャツ」か、みたいな。個人的には、今さら和製英語を云々言ってもキリがないので、どうでもいいことだと思っていますけど。
ヤマ
ところでチノパンつまりチャイナトラウザーズは発祥からして中国製を買うのが正しいのかもしれませんね。
blackwatch
ウチの高校はリベラル(?)な校風だったので、特にトラブルはありませんでしたよ。
確かにチノは、語源からして中国との関係が深い生地ですね。英語版Wikipediaの説明も面白かったです。
ふくらはぎ
かつ、ダブル仕上げで、タックによって生じる、プリーツから自然に生ずる
(用語の使い方が誤ってるかもですが)クリースを強調する。
これを安いユニクロのツータックパンツで試してみました。
考えていたとおり、ダブルの重さで自然にクリースが綺麗に出て、
かつ、ちょっと涼しげな感じになりました。
裾丈が短く、細めのシャツがよく合います。
自分はふくらはぎがひっかかるので、ノータックが苦手です。
ツータックが復活するかどうか未知の世界ですが、
ツータックをうまいこと穿きこなせたら面白いですよね。
blackwatch
もしかして、1か月くらい前にもコメントをいただいた方でしょうか。ハンドルネームはできれば統一していただいたほうが、話のつながりが分かりやすくなると思います……。
いま2プリーツを穿くなら、裾幅が細めで短丈のテーパードシルエットのものが穿きこなしやすいのかなと(ペグトップとか)。そしてトラッド感を出すなら、ふくらはぎさんのように裾はダブル仕上げがいいですね。