ウェブファッション雑誌のフイナム(Houyhnhnm)さんのところで、2008年のファッションを総括する座談会が行われていました。
やはりアメトラの流れは否応なく感じましたよね。うちの秋冬はレトロアウトドアをテーマに仕入れを行いましたが、基本的に重衣料はすでに持ってる人も多いだろうし、世に出回っている感もあったのでダウンベストを強化してきました。
(中略)
しつこいようだけど、皆さんが言うようにアメリカントラッドはリアルに来てましたよ。でもコテコテなものだけではなく、モードの流れを感じるスキニーデニムとの組み合わせなどが、うちのグランドフロアーでは見られましたね。
アメトラ(アメリカン・トラッド)の文字が頻繁に登場しています。ただ、ここで言っているアメトラは、アウトドアとかワークとかのアメカジ(アメリカン・カジュアル)を含めた広い意味のアメトラのようですね。
「アメリカ東海岸風スタイル」という本来の意味(狭い意味)のアメトラは、業界が期待するほどの大流行には至らなかった気もします。こんな記事もありました。
- ファッションビジネス専門紙 繊研新聞 - コラム/ボイス/2008年6月(2008/06/02)
「トラッドがトレンドなのに、若い世代に今ひとつ売れないのは、こだわりを知らないから」と言うのは、「マーカ」を手がける石川俊介氏。意外にもトラッドが売れない理由は、古着の売れ方と関係があると言う。「今の若い子たちはモードの入った古着しか経験していない。だから昔の古着のような仕様のこだわりが分からない」。モードの入った古着というのは「マルタン・マルジェラ」のメンズのような感じと言えば分かりやすいかもしれない。つまり古着といっても、どこかパリやラテンのフィルターを通したものに引かれるというわけだ。「アングロサクソンのフィルターは今の若い世代にはなかなか響かない」との分析は興味深い。
「アングロサクソンのフィルターは今の若い世代にはなかなか響かない」というのはどうかな。若い世代に受けそうなモッズやパンクは、アングロサクソン系のファッションですよね。それはともかく、アメトラはちょっと苦戦していたみたい。
何回も書いていますが、アイビーやプレッピーを代表とするアメトラは、元々は「エリート」のためのファッションなんですよ。だから、(若者に多い)悪ぶりたい人向きの服ではないです。少なくともお兄系やB系のような服が好きだった人は、基本的には絶対にアメトラには流れないでしょう。
悪ぶる必要のないソコソコの大学に通っているような人がもうちょっとアメトラに流れてもいいのかなとも思いますが、まあ今はそういう大学生が流行を引っ張る時代じゃないんだろうなぁ。
とは言え、一時期のアメトラが忌み嫌われた時代が終わったことは確かなので、個人的には十分満足しております。街中に紺ブレやI型ジャケットがあふれたら、それはそれで困るなぁとは思っていました。ブームは反動が怖いですから。大流行しなかったぶん、アメトラは延命できたとも言えるのでは?
これからは、コテコテなコスプレではなく、流行を上手く取り入れながら自然体でアメトラを楽しみたいですね。まだしばらく、アメトラ好きには良い時代が続くと思いますよ。
それでは。
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この記事へのコメント
クラコフ
アメトラ好きには良い時代が続いてくれそうですか。そうなってくれればうれしい限りですね。
↑の記事のように、自分と同世代の大学生達にはあまりアメトラは流行りませんでした。ほんの一握りか、もしくはモード七割、アメトラ三割みたいな人がいたくらいですかね。今までモードに走ってきた人からはどうしても地味に見えてしまうらしいです。アメカジ率は昨年より増えたような気がしますけどね。
ただあまり着てる人が少ない分、自分は存分に堪能してますからすごく良い時代です(笑)
blackwatch
今の状況は、「通」の人が着ているって感じ(?)。ヘタに大流行するよりは、この状況が続くほうが望ましいですね。
まあコテコテのアメトラが新鮮な時代はあまり続かないでしょうけど、ちょっと前のようなアメトラ暗黒時代に戻るのは10年は先だと思いますよ。
サガ
大学でアメトラーと遭遇とかは先ず在り得ないですねー。
セレクトショップの中でだけ
かろうじて「その手」の人を見るぐらいというか。
大阪はトラッドハウス フクスミさんも在るので
もう少しアメトラーが居ると思っていましたが
やっぱるアメリカンカジュアルのベクトルが
大きかったんでしょうかね。
blackwatch
80年代以降は、特に若い人にとってはアメカジとアメトラの境目はあいまいになっているなぁという気もします。ジャケットを着ないでスニーカーを履いていたら、あまり違わないなぁと。
ヤマ
ましてや繊維品はMADE IN USAが少くなってるのに
って状況で若い世代にむしろ難易度高いですよね。とはいえBAND OF OUTSIDERSのようにあえてMADE IN USA や古い工場MADEにこだわるところもやはりDIOR HOMME以降の流れかつベルギー派のN.Y.MODEはいってんじゃねーかなとは思います。DIOR HOMMEからファッションにはいった若い世代はきっと来来年くらいが難しいんですね。しかしH&Mはラテンのにおいがしないなあ・・・おっとスゥエーデンですよといわれそう。
blackwatch
「DIOR HOMMEからファッションにはいった若い世代はきっと来来年くらいが難しいんですね」は、私も同感です。年齢的にもいろいろ考える時期でしょう。バリバリのモード好きというわけでもなさそうですので、フレンチカジュアルあたりに流れるのかな。
H&Mはラテンと言うより、やはりフレンチ寄りなんでしょうね。
ヤマ
スペイン発のZARAとは違いますよね。フランスと同じラテンといえど、
しかしパリで発表する人たちはラテンなのか否か。
blackwatch
スペインは、フランスよりラテン濃度が濃い気がします。と言うかラテン云々とは関係なく、ZARAのメンズは私にはピンと来ませんねぇ…。