メンズ・イーエックス(Men's EX)の2008年8月号の「英国をどげんかせんといかん!」という連載にて、イラストレーターの綿谷寛さんがこんなことを書かれていました。
“今年の秋冬は、再び英国が注目されています”
毎年秋の訪れとともにファッション誌に躍るお約束のフレーズ。でも、これまで一度も来た試しがない本格的英国ブーム……。
どうせまた、中折れしたフニャ●ンみたいに腰のないツイードとかカシミアを指して“イタリアから見た英国”みたいな曲がりくねった表現でお茶を濁すんだよ、きっと。
(笑)。まあ狭い意味のブリトラ(ブリティッシュ・トラッド)は、堅苦しい鎧のようなスーツやブレザー、ツイードジャケットのことですからねぇ。少なくとも若い人には、そういうのはアメトラ以上に受けないだろうなぁ。
ただ、上の記事に書いていますとおり、ブリティッシュ・トラッドは紳士服の王道なのです。好むと好まざるとにかかわらず、ブリティッシュ・トラッドは勉強しておく価値があります。
特に、「角ばった肩に絞り込んだウエスト」みたいなブリティッシュスーツやジャケットの特徴は、理解しておくと何かと役に立つでしょう。おそらく、今後この手のスーツやジャケットが増えてくると思われますし。
ちなみに、昨今は短丈のジャケットが人気ですが、ブリティッシュはある程度着丈が長いほうが格好良いと思います(着丈が短いと後述のモッズになっちゃう)。あと、Vゾーンも狭いほうが気分だなぁ。2つボタンよりも3つボタンがいい。
ハーディ・エイミスのイギリスの紳士服
ブリティッシュ・トラッドの勉強用として最近よく紹介されているように思うのが、ハーディ・エイミス(Hardy Amis)氏の『イギリスの紳士服』という本。ただ、これは初心者向けではないような…。
スーツの歴史みたいなものは何となく分かるのですが、客観的に見たブリティッシュスーツの特徴が具体的に書いてある本ではないと思います。
あと、執筆されたのが1980年代の影響が色濃く残る1990年代前半くらいだと思われる点にも注意が必要です。当時と今では流行が正反対に近いので、今の感覚で読むと「???」となっちゃいそう。
もちろん、そういう点を了解していれば、この本は興味深い記述が多いですよ。イギリス王室、特にエドワード8世(ウィンザー公)のファッションの記述については、服好きなら楽しめるはず。
アーガイル、タータンチェック
非常に英国的な柄のひとつと言えるアーガイル柄は、今季は若い人にも人気を博したように思います。今季街中を歩いていて、最もブリティッシュを感じるアイテムでした。
さらに英国的な柄と言えば、タータンチェック。私のハンドルネーム(blackwatch)が示すように、私も大好きな柄です。
ただタータンチェックは、クドい柄なんだよなぁ。さすがの私も、毎日着ようとは思わない(汗)。他人とカブったら辛い柄でもあります(よく使われるタータンの種類は意外に少ない)。とか言いつつ、今季私はブラックウォッチ柄のマフラーを追加してしまいましたが。
ブリティッシュカントリー
今季のトレンドのひとつと言われたブリティッシュカントリー、実際の売れ行きはどうだったんでしょうね。
ちなみにアメトラ中心の当ブログでも、ブログ開始当初から実はブリティッシュカントリーの服を積極的に紹介していたのです。キルティングジャケットとかバブアー(バーブァー、Barbour)とかトリッカーズ(Tricker's)とかシェットランド(シェトランド)とかフェアアイルとかのセーターとか。だって、着こなしやすいじゃないですか。
そう言うわけで、すでにお気づきの方も多いと思いますが、このブログの副題に「アメトラ(アイビー、プレッピー)、ブリトラ(ブリティッシュ・トラッド)を中心に、着こなしを考える」のようにブリトラを加えています。まあ、SEO対策だったりもするんですが(汗)。
ちなみにブリティッシュカントリーは、基本的にはイギリスの上流階級の服だと思います。バブアーは英国王室御用達ですし(イギリスの庶民はバブアーなんて着ていないしそもそも買えない)。彼の地の上流階級の人は、休日にはマジでハンティングをしたりするみたい。
夏に弱いブリトラ(ブリティッシュ・トラッド)
Men's EX(メンズ・イーエックス)2008年9月号の「英国をどげんかせんといかん!」でも触れていたように、ブリティッシュ・トラッドの最大の弱点は夏に弱いこと。涼しい彼の地では、夏でもツイードジャケットを着るそうですからねぇ。
ジョン・スメドレー(John Smedley)のポロシャツくらいしか、着るものがなかったりします。あとはチノパンツとかデッキシューズとかスリッポンとか、どうしてもアメリカやイタリアのアイテムを借りたくなっちゃう。
と言うわけで、春夏はアメトラ、秋冬はブリトラを着ると、一年を通してお洒落を楽しめるのかも。
モッズ、スキンズ(スキンヘッズ)、パンク
これから若者に人気が出そうなブリティッシュが、モッズやスキンヘッズ(スキンズ)、パンクといったストリートスタイル。ラグ&ボーン(Rag & Bone)が2009年春夏コレクションで提案していました。
特に短丈で細身のモッズのスーツスタイルは、今の流行に近いから取り入れやすそうですね。トム・ブラウン(Thom Browne)のスーツとの共通点も多かったりします。そもそもモッズは、アメリカのアイビーの影響を受けたスタイルなんじゃないかな。
ただ、何回も書いていますけど、上記のイギリスのストリートスタイルは基本的には「悪ガキ」のスタイルなので、コンサバとは言いがたい…。少なくとも、サラリーマンオヤジに似合うファッションとは言いがたいなぁ。
アメリカの「エリート」のスタイルであるアイビーやプレッピーとは、そこが大きく違うところです。まあそのぶん、悪ぶりたい若者にはこの手のストリートスタイルのほうが受け入れやすいでしょうね。
それでは。
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この記事へのコメント
mods
50年代後半頃のモダニストと呼ばれていた頃は、イタリアン・ルックが主流。
細身のサイド・ベンツ入りのジャケット、
ボタンダウン・シャツ、折り返しの無い細身のパンツ。
そして先のとがったウインクル・ピッカー・シューズ。
そのほとんどがオーダー・メイドである。
また現代でも定番のフレッド・ペリーのポロ・シャツも、これらのジャケットに合わせられた。
黒のパンツに黒のタートルネックのセーターもパリにかぶれる若者の間で流行ったらしい。
この頃はちょっと裕福な中産階級あたりのお洒落な一部の若者のハナシ。
60年頃には、そんなファッションが、
流行に敏感なティーンエイジャーの間で広まりはじめる。
また、スクーターの登場に合わせて、カーキ色の米軍流れのパーカーも登場。
バイクからスーツを守るアイテムだったものが後に定番化する。
モッズがいよいよブームとして一般化してくることにより、
よりカジュアルなアイテムも採り入れられ、ベン・シャーマンのチェック・シャツや
ロンズデールなどのスポーツ・ウェアも登場。
またポークパイ・ハットや、リーバイスなどのジーンズも愛用された。
一方アンゴラ羊の毛で織った、モヘア・スーツも定番。
ハッシュ・パピーやクラークスのデザート・ブーツも人気アイテム。
blackwatch
いろいろ情報ありがとうございます…と思ったら、これは以下の記事の内容そのままですね。
mods.beat-net.info/fashion/
少なくとも出所を明示していないと、著作権法的にマズいと思います。もしかすると、いつかこのコメントを削除させていただくかもしれませんので、ご了承ください。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%95%E7%94%A8
モッズ周辺の情報は、やはり『ストリートスタイル』という本にかなり詳しく載っていますね。モダニストとかハイ・ギアとかロー・ギアとか。内容がどこまで正しいかは、私にはよく分かりませんが。
http://blackwatch.seesaa.net/article/5011396.html
モッズはストリートスタイルの中では上品なほうですし、(太っていない)若い人にはよく似合うファッションだと思います。この手の格好は、ミュージシャンのステージ衣装としてもよく着られていますね。