今日は、ポストマンシューズ(靴)、ポストマンブーツを取り上げます。《最終更新日: 2012年5月10日》
ポストマンシューズとは、ポストマンブーツとは
ポストマンシューズとは、名前のとおり郵便配達人が履いている靴のこと。かかと部分も含め靴底が平らなウェッジソール(フラットソール)仕様のゴム底(ラバーソール)になっている点が大きな特徴で、これは芝生を傷めないという理由もある、らしいです(ホントかどうかはよく分かりません)。といいつつ、平らでない靴底のものもあるみたい。
外羽根式プレーントウ(プレーントゥ)型が基本で、色は黒(ブラック)が基本色。チャッカブーツ(チャッカーブーツ)型もありまして、それはポストマンブーツと呼ばれます。
ポストマンシューズの親戚(?)としてサービスシューズというものもありまして、これは基本的には軍隊で支給されていたドレスシューズを指すようです。短靴としてはポストマンシューズと同様に外羽根式プレーントウが基本で、ウェッジソールではないですね。オフィサーシューズも似たような靴です。
着こなし(履きこなし)については、例えばトム・ブラウン(Thom Browne)風のスタイルを気軽に試すなら、こんな靴があれば便利なのではないでしょうか。ビジネススーツにも合わなくはないので、悪天候時や歩き回る日のためのビジネスシューズとして活用できるでしょう。
Red Wing(レッドウィング)のポストマンシューズ
レッドウィング(Red Wing)の靴やブーツを別記事で大きく取り上げていますが、やはりここがワークシューズの代表格的ブランドといえるのでは。
レッドウィングのPostman(ポストマン)は、ポストマンシューズの代表格といえるでしょう。短靴のPostman Oxford(ポストマン・オックスフォード)、型番101は1954年に郵便配達人と警察官のための靴として発表されました。まっ平らなウェッジソールが特徴です。90年代(1990年代)までアメリカ郵便局の指定靴だったとのこと。
柔らかなゴム底なので歩きやすく、ガラス革なのでお手入れがラク、それでいてそれなりにキチンとして見える点が長く愛用されてきた理由でしょう。もちろんグッドイヤーウェルト製法で、アメリカ製。
型番9196のPostman Chukka(ポストマン・チャッカ)は、チャッカブーツ型。チャッカ型のポストマンは1958年に登場したとのこと。また、黒以外のポストマンはワークシューズっぽいラギッドな仕上がりですね。
Regal Shoe & Co.(リーガル)
Regal Shoe & Co.は、リーガルのこだわりのコレクション。昔ながらのデザインの靴を高品質でつくっています。
813Sは、ポストマンシューズ。履き口やタンにパッドが付いているのが特徴で、歩きやすさを考慮した仕上がり。ビブラム(ヴィブラム、Vibram)社のウェッジソールを装備し、スプリットウェルト(ストームウェルト)仕様です。グッドイヤーウェルト製法で日本製。
Guranisuta(グラニスタ)
グラニスタ(Guranisuta)を別記事で大きく取り上げていますが、こだわりの靴の販売や修理で知られるリファーレ(Rifare)が手がける2007年に誕生した独自ブランドです。
GR-KC2527は、ポストマンシューズの親戚といえそうなポリスマンシューズ。実際にフィリピン警察の警察官が履いている靴をつくっている工場製だそうな。ウェッジソールではないですね。
甲革(アッパー)は合成皮革(人造皮革)なので、グッドイヤーウェルト製法でもお手頃価格です。ポストマンシューズは実用靴なので、こういう割り切りも面白いと思います。色展開が豊富ですね。スエード(スウェード)地もあります。
一方GR-KF2524は、イギリス海軍が1970年代に支給していた通称「オフィサーシューズ」を再現したものだそう。これは甲革は本革で、靴底も革底(レザーソール)仕様。フォルムは端正なのですが、配色で遊び心を出しています。
Haruta(ハルタ)
ハルタ(Haruta)は、1917年創業の日本の靴ブランド。今では特に通学靴として有名ですけど、安価なトラッド靴が得意なブランドといえるでしょう。
ハルタの靴は基本的にセメント製法なのであまり靴好きの人向きではないのかもしれませんが、割り切って使うなら使えるでしょう。日本製が主。ポストマンシューズのような制服っぽい靴は得意だと思います。
Danner(ダナー)
トレッキングブーツの代表格であるダナー(Danner)は、1932年創業のアメリカのアウトドアシューズ、ワークシューズのブランド。
日本製のポストマンシューズやポストマンブーツにも定評がありまして、黒以外に茶系の色展開がある点がうれしいですね。実はいま一番ポストマンシューズが充実しているブランドといえるかも。
Sanders(サンダース)
イギリス国防省(MOD)などの制服(ユニフォーム)用の靴もつくっているサンダース(Sanders)は、1873年創業のイギリスはノーザンプトンのサンダース&サンダース(Sanders & Sanders)社が展開する老舗靴ブランド。
マジメで質実剛健な靴を得意としています。ウェッジソールの靴もありますよ。
Hiroshi Tsubouchi(ヒロシ・ツボウチ)
坪内浩氏がデザインするヒロシ・ツボウチ(Hiroshi Tsubouchi)は、2008年に誕生した靴ブランド。流行をセンス良く料理した靴をつくっています。
ポストマンシューズ風の靴もありまして、ウイングチップやチャッカブーツがありました。
他の記事も……
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追記
- (2011年2月23日)全面的に書き換え。
- (2012年5月10日)2012年春夏最初の更新。
この記事へのコメント
NowhereMan
近々ポストマンシューズの購入を検討しています。
しかし、私はこのような類の靴を購入したことがないので、こういう靴を履くときの靴下というのはどのようなものを履いて良いのやら分かりません。
たぶん、履く靴下によってはサイズの間隔に違いが出てくる可能性もあると思います。
さらに、ネットなどで靴を買うとなると大体の感覚で買うことになるので、どういった用途でどのように履くかということも重要になると思います。
個人的には、スタイルは問わずにカジュアルに履きたいです。
もしかすると、記事にされているかもしれませんが、これらの靴の履き方も教えてもらえるとありがたいです。
よろしくお願いします。
blackwatch
「このような類」というのがどういう「類」なのかがイマイチよく分からないので、ちょっと答えるのが難しかったりします。「ポストマンシューズ」の類なのか、プレーントウ型の靴の類なのか、それとも革靴一般の類なのか……。
とりあえずカジュアル用の革靴ということでお答えしますと、うーん、そのへん(ユニクロでも無印用品でも)に売ってそうな普通のコットン製の中庸の厚さの靴下がまずは候補なのではないでしょうか。無地のほか、いまならアーガイル柄やボーダー柄が気分でしょう。
あと、Thom Browneのように素足風(実際にはフットカバーのような見えない靴下を履いていることが多い)に履くのも近年は人気です。実はいまは特に春夏ならこれが一番合わせやすいかも。
靴下の合わせ方は奥が深く流行にもけっこう左右されますので、ファッション雑誌やファッションスナップなどをいろいろ見て、自分の好みに合いそうな合わせ方を研究してみてください。ちょっと前までは薄手の靴下が多かった印象がありますが、いまは中庸の厚さの靴下が多い気がします。
サイズを合わせるのであれば、そのへんに売っている中庸の厚さの靴下で合わせればそこそこ無難だと思います。
NowhereMan
”このような類”というのは革靴全般の事を指しています。
説明不足ですみません。
厚みは、その辺の靴下を基準にして良いみたいですね。
でも、革靴にスニーカーソックスは変ですよね?
blackwatch
スニーカーソックスとは、くるぶし丈の靴下のことですね? 本来はドレスシューズにはあまり合わせないものかもしれませんが、いまの流行だと合わせ方次第ではそれほどヘンではないのかも。
ちなみに、Thom Browne氏自身はごく短い丈の靴下を履いていることがあるようです。でも薄手の素材なので、スニーカーソックスとはちょっと違うかな。
NowhereMan
これから靴下を買うときは、厚みを前提に考えようと思います。
ありがとうございました。
blackwatch
靴下の厚みは、ドレス寄りの着こなしをするかカジュアル寄りの着こなしをするかで考えるのが基本です。ドレス寄り(スーツが典型)なら薄手、カジュアル寄り(特にアウトドアスタイル)なら厚手ということになります。
一葉
ほぼ毎日の更新を楽しみに拝見させて頂いております。
どの記事にコメントしようか悩んだのですが、実用靴に関する話題ということでここに投稿します。
立ちっぱなしの仕事にむいた(足が楽になれる)靴ってありますか?
私は今、工房のような屋内で朝から晩まで立ちっぱなしという環境で働いています。
立ち仕事からくる足腰のつらさがちょっとでも楽になればいいなと手持ちの靴からいろいろ試行錯誤しています。
・Cove shoesのチャカ型のポストマン -> メンテ楽でした。履き心地はふつう
・NewBalance 993 -> クッション性があると立っていてかかとが疲れない。蒸れない。でもここまで軽い必要はない。走らないので。高いし。
・foot so portのu-tip -> モデル名、年代不明ですが、土踏まずのアーチのお陰か、、厚くて軽いソール(おそらくビブラム#2021?)のお陰か、返りも軽いし、ふかふかのクッション性◎。
今のところ一番楽で気も使わないで済むのでお気に入りです。が、古着屋で購入したものなので今後の入手性×。これはオールソール交換してまで履くつもりはないです。
(8000円で買った靴でして、そこまでの愛着はないので履きつぶします)
出勤時に一度履けばそのまま帰るまで履きっ放しなので、脱ぎ履きの楽さはあまり考慮していません。
スリッポンやサイドゴアより紐靴がむくみに対応できてよいです。
最近の記事ですと、ウルヴァリンのポストマンが気になりました。
つくりを考えるとコスパがよいと聞くJALAN SRIWIJAYAも興味があります。
幸いにも身に着けるものについては自由な職場です。
年齢は26才。予算はだせて5万以下です。
長々と書き連ねてしまいましたが、なにかお返事いただければ幸いです。
よろしくおねがいします。
blackwatch
立ちっぱなしの仕事に向いた靴ですか。うーん、正直申しましてそのへんの「土地勘」がまったくないものでして、どうお答えしてよいやら……。
一葉さんはすでにいろいろ研究なさっているようで、おそらく私よりもお詳しいでしょう。また、靴の歩き心地と同様に、個人差も大きいでしょうね(歩き心地の良い靴という問いでも、たぶん私は困ると思います)。
一葉さんのコメントを拝読する限り、クッション性に優れた靴が向いているようですね。適当なスニーカーを選ぶか(必ずしも高価なスニーカーを選ぶ必要はないでしょう)、柔らかなラバーソールの靴を選ぶか、適当な中敷を入れるか、そんなところを思いつきました。
大学生
通販でポストマンシューズを買ったのですが、どうも小指あたりがスニーカー並に窮屈なんです
そこで質問なのですが、ポストマンシューズはやはりふつうの革靴のような(スニーカーと比べると余裕を持った)サイズ感で履くのか
スニーカーのような(革靴と比べると多少窮屈な)サイズ感で履くのか
どちらが正しいのでしょうか?
blackwatch
まず、大学生さんのご認識は一般的なそれとは逆だと思うのです。革靴はピッタリのサイズで履いて、スニーカーは少々緩めでも問題ない、というのが一般的な認識なのでは。
実際に、スニーカーは一般的には靴底が柔らかく「返り」が良いので、少々大きくても問題ないはずです(ただし甲がしっかり固定されていることが前提)。キャンバススニーカーあたりだと甲が伸びることも期待できませんし。もちろん、実際に競技で「本気」で使うスニーカーなら、サイズをきっちり合わせるべきだとは思いますが。
ポストマンシューズは、靴底がまっ平らという特徴がある「革靴」です。サイズの選び方も革靴と基本的には同じです。ただ、ポストマンシューズの靴底は返りの良いものが多いと思いますので、少々大きくてもなんとかなるかも(甲が緩くなければ)。
小指が窮屈ということであれば、履きこんでいくうちになじむかもしれません。ご自身もしくはお直し屋さんでストレッチする手もあります。ただし、これも窮屈の「程度」次第でして、なかなかなじまない可能性もあります(特に小指は厄介)。
http://blackwatch.seesaa.net/article/4451329.html
大学生
革靴は捨て寸が必要=大きめを履くと勘違いしてました
返品送料はかかりますがちゃんと履き比べてみることにします
ありがとうございました
blackwatch
捨て寸は、革靴に限らず基本的にはどんな靴にも必要なはずです(一部の競技用の靴とかには捨て寸がないものもあるでしょう)。スニーカーを間違ったサイズで履いていても外反母趾になったりするでしょうし。
私の記事に書いたサイズの選び方は、スニーカーにも適用できると思います。もちろん、スニーカーの場合はあそこまで厳密にしなくてもよいですけど。
あと、小指については、捨て寸の問題ともいえなくもないですが、足囲(width)の問題ともいえそうです。捨て寸は、どちらかというと親指周辺の余裕のことなんですよ。
大学生
アドバイスを受けサイズを選び直しましたが
こんどこそジャストサイズを買えたと思います
ただ一点だけ、踵がほんの少し浮いてる気もするのですが、管理人さんの記事にもあったとおりグッドイヤーウェルト製法の靴は、はじめのうちはそういう物なんですよね?
これからはもっとサイズ選びを慎重に考えていきます
僕の間違った認識を正してくれてありがとうございました
blackwatch
かかとの浮きは、ダメなときはどんなに履き込んでもダメだったりしますので、そうではないことをお祈りしております……。