チャーチ(Church's)の靴を別記事で大きく取り上げていますが、今日はチャーチのシティー・コレクション(City Collection、City Line)の革靴(靴、シューズ)を取り上げます。《最終更新日: 2013年3月9日》
Church's(チャーチ)のCity Collection(City Line、シティー・コレクション)
チャーチのシティー・コレクションの特徴は、ざっとこんな感じだと思います。
- 比較的お手ごろ価格
欧米の名門ブランドの靴はここ十数年でかなり値上がりしていまして、チャーチもその例外ではありません。シティー・コレクションは、チャーチにしてはお手頃価格なのがウリ。20年くらい前のチャーチがこのくらいの値段だったような記憶があります。
- 木型(ラスト)136
採用している木型(ラスト)は、新開発された136。中庸な木型173とロングノーズな木型108の中間くらいのデザインで、ドレッシーな雰囲気です。ちょっと甲高の木型みたい。
- ライニング(裏地)の前半分が布(キャンバス)
-
ライニング(裏地)の前半分が布(キャンバス)という仕様は、昔のチャーチではよく採用されていたようです。というか、昔の靴はこの仕様のものが多かったんです。私の持っている1940年代や1950年代の靴も、たいていこの仕様。
ある意味クラシックな仕様といえますが、まあやはり材料費を抑えたかったという理由もあるんでしょうね。
- メキシコ製のレザー(皮革)
甲革(アッパー)のレザー(皮革)には、メキシコ製のグレインレザーをポリッシュト・バインダー仕上げしたものを使用しています。
この辺も価格を抑えることに貢献しているのでしょう。イギリスブランドにしては珍しくチャーチはガラス系の革をよく使いますが、この革もそうですね。
- ノーザンプトン製のグッドイヤーウェルト製法
いろいろ特徴がありますが、通常のチャーチと同じくイギリスのノーザンプトンにてグッドイヤーウェルト製法でつくられていますよ。多少工程は簡略化されているのかもしれませんが、基本は抑えています。
ストレートチップ(キャップトウ、キャップトゥ)、セミブローグ
シティー・コレクションは、名前のとおりモデル名に世界の各都市の名前が付けられています。また、いまのところすべて革底(レザーソール)仕様です。
まずはドレスシューズの基本、内羽根式のストレートチップ(キャップトウ、キャップトゥ)からご紹介。
Hong Kong(ホンコン、香港)は、穴飾りのない基本中の基本のキャップトウ。冠婚葬祭(フォーマル)にも使えるこの靴は、いの一番のそろえてほしいところ。スエード(スウェード)地も出ました。
London(ロンドン)は、パーフォレーション(ブローギング)とメダリオンのついたいわゆるセミブローグ。名前のとおり、ロンドン紳士が一番好きそうなのはブローグの入ったこの靴じゃないかな。
ウイングチップ(ウィングチップ、フルブローグ)
New York(ニューヨーク)は、内羽根式のフルブローグ(ウイングチップ、ウィングチップ)。確かに、ニューヨークの人はスーツにフルブローグを合わせるのが好きな印象がありますね。
プレーントウ(プレーントゥ)
Paris(パリ)は、外羽根式のプレーントウ(プレーントゥ)。鳩目(アイレット)の少ない3アイレット仕様で、外羽根式ながらフォーマル寄りの雰囲気です。名前のとおりフレンチ・トラッド(フレンチ・カジュアル)との相性も良さそうですね。
モンクストラップ
Tokyo(トーキョー、東京)は、モンクストラップシューズ。スーツにもカジュアルにもトラッドにもモードにも合わせられるこの靴は、伝統にとらわれない着こなしをする日本人向きといえるのでは。
スリッポン、ペニーローファー
Prague(プラーグ、プラハ)は、スリッポンの代表格であるペニーローファー(コインローファー)。他の靴と同様のドレスシューズ用の木型を使用していますので、ペニーローファーといえども大人っぽくドレッシーな仕上がりです。
サイドゴアブーツ(チェルシーブーツ)
Beijing(ペキン、北京)は、着脱が容易なサイドゴアブーツ(チェルシーブーツ)。60年代(1960年代)のブリティッシュスタイルあたりと相性が良さそうです。
他の記事も……
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追記
- (2013年3月9日)2013年春夏最初の更新。
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この記事へのコメント
いけぼう
わたしは、最近、丸山さんに靴を作ってもらいました。
http://www.boq.jp/closeup/shoes/2010/0402/index.htm
blackwatch
いけぼうさんがどのような観点で革質が良くないと判断なさったのかはよく分からないのですが、まああんなもんじゃないでしょうか。履きこんでどうなるか興味があります。
boq.jpはちょくちょく見ているのですが、最近は日本人の靴職人が増えましたねぇ。憶え切れません……(汗)。
いけぼう
(ディセンタージュのお店のParisの商品写真)
この写真を拡大してみる限り、ガラス(ブックバインダーでもない)ではないかと思えます。
それに、コンセプトで革を余りなく使えるパターンを採用したとありますが、従来のチャーチの姿勢からすると、信じがたいものがあります。
かつては、最上部分のみを使い、残りは他のメーカーに流すことをしたと、「地に足のついた靴大全」に書いてありました。
blackwatch
代理店の人によりますと、City Collectionの革は(ブックバインダーカーフの後継の)ポリッシュドバインダーだそうです。とはいっても値段がかなり違いますから、常識的に考えてShannonなどに使われているものよりは質は落ちるだろうと思われます。
これをどう考えるかは、各個人の価値観次第ではないでしょうか。「こんなのチャーチじゃない」と憤る人もいるでしょうし、「この価格でチャーチが手に入るのは嬉しい」と歓迎する人もいるでしょう。どちらか正しいとも間違っているともいえないと思います。
ということで、この議論はここまでといたしましょう……。