アレン・エドモンズ(Allen Edmonds)の革靴(靴、シューズ)を取り上げます。《最終更新日: 2014年9月1日》
Allen Edmonds(アレン・エドモンズ)
アレン・エドモンズは、1922年創業のアメリカはウィスコンシン州の靴ブランド。堅牢なグッドイヤーウェルト製法を主力とするドレスシューズブランドでアメリカ製を維持しているのは、今ではこことオールデン(Alden)くらいだと思われます。
そうそう、よくアレン・エドモンズとオールデンが比較されますけど、企業の規模(靴の生産量)は圧倒的にアレン・エドモンズのほうが大きいようですよ。アメリカでの知名度もアレンのほうがずっと上なのでは。アメリカのオークションサイトのeBayに出品されている靴の数も、アレンのほうがかなり多いですし。
まあそのぶん、アレン・エドモンズは良くも悪くもいろいろな種類の靴をつくっているわけでして……。「通」向けなのは、アメリカにおいてもオールデンのほうなのでしょうね。
アメリカの歴代大統領も愛用
履き心地の特徴としては、比較的靴底の返りが良いことが挙げられると思います。昔の広告では「履きならしの要らない靴」のようなコピーで宣伝していたはず(とはいっても少しは履きならしは必要でしょう)。こちらは、昔と今の工場の様子です。
アレン・エドモンズの靴はアメリカの歴代大統領も愛用していまして、バラク・オバマ大統領も履いています。アメリカを代表するアメリカ製のドレスシューズということで履いているのだと思われます。
アレン・エドモンズはオールデンと同様に、ホーウィン(Horween)社のシェル・コードバン(シェル・コードヴァン、馬のお尻の革)の靴を得意としています。こちらは、そのホーウィン社のコードバンの製造過程の映像。アレンの工場を取材しています。
木型(ラスト)いろいろ
アレン・エドモンズにももちろん木型(ラスト)はいろいろあります。昔は木型番号は数字1桁だったのですが、今は種類が増えたせいか桁数が増えました。
以下に、グッドイヤーウェルト製法の靴用の木型をご紹介(マッケイ製法の靴はまた別系統)。私がなじみのある昔ながらの木型のみのご紹介です。最近の木型はよく分かりません……。
- 65 (5) Last
旧5番。最もロングノーズの木型だそうですが、アレンのことですから(?)大して長くはありません。他と比べると、この木型はなんとなくちょっと履き心地(方向性?)が違うような気がします。Park Avenueなど。
- 97 (7) Last
旧7番。爪先が細めでドレスシューズ向き。オールデンならAberdeen Last(アバディーン・ラスト)に相当するのかな。MacNeilやGraysonなど。
- 511 (1) Last
旧1番。全体にドッシリとして安定感のある木型。オールデンならBarrie Last(バリー・ラスト)に相当するのかな。Leedsなど。
- 73 (3) Last
旧3番。爪先は比較的シュッとしていると思うのですが、甲周りに余裕があります。Broadstreetなど。
- 234 (4) Last
旧4番。セミスクエアトウの木型です。昔はよく使われていました。かかとの食いつきが良い木型だなと。
- 678 (8) Last
旧8番(旧旧8番かも)。これは着脱可能なインソール付きの靴に使われます。ショートノーズのセミスクエアトウ。
上記の木型はだいたい同じサイズを選べばよさそうな気がします。ただ65は、他と比べてlengthを0.5小さくwidthを1つ緩めてもよいかと思いました。また、73はやはり甲が緩めだなと。まあこれはあくまで個人の感想ですので、人それぞれでしょう。
ちなみに、靴の型番の下1桁が旧木型番号になっているはずです。最近のモデルはどうかな。
アメリカのAmazon.comなら、width(足囲、ウィズ、ワイズ)を選べます。アレン・エドモンズの靴はアメリカ本国ではとにかくwidthが豊富でして、このブランドの真髄(?)を味わいたいならアメリカから買うことをオススメします。
ストレートチップ(キャップトウ、キャップトゥ)
まずは、基本のストレートチップ(キャップトウ、キャップトゥ)からご紹介。
Park Avenue(パーク・アベニュー)は、アレン・エドモンズの代表作の内羽根式ストレートチップ。これは私も愛用していまして、実はいままでで一番よく履いたストレートチップかも。鳩目が6つ(6アイレット)のクラシックな顔立ちで、爪先のキャップが小さめなのも特徴です。木型は65で革底(レザーソール)仕様。
Fifth Avenue(フィフス・アベニュー、フィフス・アヴェニュー)はパンチトキャップトウ(パンチドキャップトゥ)、Strand(ストランド)はセミブローグです。この順番でブローギング(穴飾り)が派手になります。木型はやはり65。
ウイングチップ(フルブローグ)
MacNeil(マクニール、マックニール)は、いかにもアメリカらしい迫力ある外羽根式ロングウイングチップ。もちろんストームウェルト仕様。アメトラ(アメリカン・トラッド)には欠かせません。木型は97で革底仕様。
McAllister(マカリスター)もウイングチップですが、内羽根式ですので外羽根式よりドレッシーな雰囲気になります。木型はPark Avenueと同じく65で革底仕様。
プレーントウ(プレーントゥ)
次は、何も飾りやステッチのないプレーントウ(プレーントゥ)。
Leeds(リーズ)は、アレン・エドモンズの代表作のひとつの外羽根式プレーントウ。どっしりとした木型511を採用してストームウェルト仕様、まさにアメリカらしい一足といえます。革底仕様。
この靴は、私が一番最初に買ったアレン・エドモンズの靴なのです。
Uチップ
Ashton(アシュトン)は、フランス風の乗せモカ仕様のUチップ。比較的長くつくっているモデルのひとつです。ゴム底仕様で、インソールが取り外せる仕組み。木型はショートノーズの8(678)番です。
スリッポン、ローファー
Grayson(グレイソン)は、定番のタッセルローファー(タッセルモカシン)。アメトラ好きならこれも持っておきたい靴といえます。木型は97。
私は、これをスーツに合わせてよく履いていましたねぇ。脱ぎ履きしやすい点は日本人向きかと。これのウイングタッセル版のManchester(マンチェスター)というモデルもありまして、これもスーツに合わせてよく履いていました。
Kenwood(ケンウッド)は、ビーフロールローファー。まさにアメトラの王道を行くデザインです。他ブランドではあまり見ないピンキング(ギザギザ)飾りに注目してください。
実はアレン・エドモンズはマッケイ系の製法の靴も得意としていまして、この靴がまさにそうです。
Brooks Brothers(ブルックス・ブラザーズ)の靴
近年はブルックス・ブラザーズ(Brooks Brothers)の靴も手がけていまして、アメリカ製の靴の多くがアレン・エドモンズ製だと思われます(明記していない商品もありますがまず間違いないはず)。
装飾なしのストレートチップ、パンチトキャップトウ、セミブローグ、ウイングチップ、プレーントウ、チャッカブーツがありまして、それぞれPark Avenue(パーク・アベニュー)、Fifth Avenue(フィフス・アベニュー)、Strand(ストランド)、McAllister(マカリスター)、Leeds(リーズ)、Dundee(ダンディー)が基になっているのでしょう。
別注点は主に靴底でして、革底の上にブルックスのネクタイでおなじみのBB#10のストライプ柄のラバーが補強されていて、かかとも革底(ダブテイル)仕様になっています。素材はカーフ、製法がグッドイヤーウェルトで、もちろんアメリカ製。
「スエード ウィングチップ」は、MacNeil(マクニール、マックニール)が基になっていると思われるロングウイングチップ。これは甲革がスエードで、シックなゴム底であるダイナイトソール(Dainite Studded Rubber Sole)仕様です。
こちらは、大人っぽい雰囲気のペニーローファー。ネクタイに使われるBB#10ストライプ柄のラバーソールに注目してください。グッドイヤーウェルト製法でしょう。
昔のカタログ、1956年より
アレン・エドモンズの昔のカタログが、ここにたくさんありました。おそらくアレン・エドモンズ社自身がアップロードしていると思われます。
やはり気になるのは昔のカタログでして、一番古いのは1956年みたい。定番といわれている内羽根式ストレートチップのPark Avenue(パーク・アベニュー)が当時は外羽根式で、ロングウイングのMac Neil(マック・ニール)が当時は内羽根式ストレートチップなんだなぁ。
その後Park Avenueは外羽根式プレーントウにも化けていまして、ペットネームをけっこう使いまわしているんですね。あと、この当時はローファーなどのスリッポンの種類が少ないことも特徴。
こちらは、1975年のカタログ。表紙から想像できるとおり、クセのあるデザインの靴が多いです(汗)。スクエアトウの靴が多いことも特徴。
個人的に気になるのはロゴの変遷でして、カタログをざっと見る限り、1982年と1990年くらいにロゴが変更されているようにみえます。実は私はアレンの靴を20足以上持っていまして(汗)、ロゴから判断するにたぶん1982年以前の靴も何足か持っていますね(デッドストックで入手)。
アレン・エドモンズといえばサイズ展開、特にwidth(ウィズ、ワイズ、足囲)の種類が多いことで有名ですが、昔は今よりもっとサイズ展開が豊富でした。今も昔くらいのサイズ展開を頑張ってほしいところなのですけど、やはり難しいのかなぁ。
その他
その他のアレン・エドモンズの靴やブーツは、こちら。
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追記
- (2014年9月1日)大幅に内容を更新。
この記事へのコメント
えいねん
貴ブログの記事が裏付けされるような数ですね♪びっくり致しました。
靴全体で何足ぐらいお持ちなのでしょう???
blackwatch
靴全体だと、たぶん40足くらいあるのかもしれません。怖くて数えていません(汗)。
といっても、実際によく履く靴は限られていまして、ある程度整理しないといけないなぁとは感じています(置く場所がないのでうかつに靴を増やせない……)。
あさだあめ
アレンエドモンズの靴は20足以上お持ちということですが、
Macneilに一番合うシューツリーはご存知でしょうか
教えていただけると非常にありがたいです
blackwatch
世界中のあらゆるシューツリーを試さないと「一番」合うものは分からないでしょうが(笑)、まあ揚げ足取りはおいておいて。
私は、ほとんどの靴に小さめサイズのMarkenのシューツリーを使っています。ただ、私は足がとても細いので(widthがA)、普通の足の人だとあまり参考にならない感もあります。
http://blackwatch.seesaa.net/article/4598640.html
あさだあめ
お答えいただきありがとうございます。
お勧めのMarkenのシューツリーを試してみます。
無印のシューツリーだと大きすぎるような感じがあったので
代替案を示していただけてうれしいです。
blackwatch
靴屋のトレーディングポストさんあたりにはAllen Edmonds純正のシューツリーがあるはずですので、それを試す手もあるでしょう(もうお試しかもしれませんが)。ただ、木型ごとにシューツリーが分かれているわけではありませんので、必ずしもピッタリ合うとは限らないような気もしますが。