ブルックス・ブラザーズ(Brooks Brothers)を別記事で大きく取り上げていますが、今日はブルックス・ブラザーズのネイビーブレザー(紺ブレ)、テーラードジャケットを取り上げます。《最終更新日: 2020年12月2日》
Brooks Brothers(ブルックス・ブラザーズ)
ブルックス・ブラザーズは、1818年創業の泣く子も黙るアメトラ(アメリカン・トラッド)を代表するブランド。
1845年に世界で初めて既製スーツを販売したのが、ブルックス・ブラザーズだそう。それまでは、スーツといえば注文服しかなかったんですよ。ジャケットについても、ブルックス・ブラザーズはもちろんアメリカを代表するブランドといえるでしょう。
さまざまフィット
コンサバの王道を行くブルックス・ブラザーズですが、流行を意識した今っぽいモデルも発表しています。
- Madison(マディソン)
昔ながらのクラシックなフィットのモデル。基本です。
- Regent(リージェント)
細身のフィットのモデル。通常のモデルはドロップ(上胴と中胴の差)が6なのですが、Regentは7です。2011年春夏より「背幅・ウエスト・袖幅が細くなり、ゴージラインが高く」なったそう。
- Fitzgerald(フィッツジェラルド)
ドロップは6なのですが、肩幅とラペル(下襟)幅が狭めです。ちなみにFitzgeraldはジョン・F・ケネディのミドルネームでして、彼が着ていたスーツから着想を得たモデルだそう。
- Milano(ミラノ)
身幅が最も細く、着丈も最も短いのが特徴です。まさにイマドキの仕上がり。ドロップ7。
各モデルについて、裏地が最小限で芯地も肩パッドも薄い、いわゆるアンコン(アンコンストラクテッド)ジャケットもあります。この手の仕様は今っぽい雰囲気を醸し出してくれますし、着心地も軽いのです。実は身幅も細めのようです。ブルックスではソフトジャケットとも呼んでいます。
ブルックスのアンコンジャケットにはさらに2種類ありまして、「アンコン型」は肩にのみ裏地あり、「セミアンコン型」は背中と肩に裏地があります。袖裏(袖の裏地)は基本的には付いています。
各サイズの実寸については、ブルックス・ブラザーズの「お問い合わせセンター」に問い合わせればていねいに教えてもらえますよ。
お得なクリアランス(セール)商品もお見逃しなく。セール時期は特に必見です。なおブルックス・ブラザーズ・オンラインショップでは、商品到着後8日以内なら未着用の場合に限り返品・交換が可能です。
ちなみに、オンラインショップではスーツの取り扱いも始まっていますね。
アメリカ製のテーラードジャケットもありまして、いまはブルックスの傘下である名門サウスウィック(Southwick)の工場でつくられています。
ネイビーブレザー(紺ブレ)、I型、II型
まずは、ネイビーブレザー(紺ブレ)からご紹介。
- ブルックス ブラザーズの “マディソン” こそ、紺ブレの王道にして入門の一着だ|雑誌Begin(ビギン)公式サイト
- ベーシック好きを自負するなら「紺ブレの正統」ブルックスブラザーズを知っておくべき|雑誌Begin(ビギン)公式サイト
ブルックス・ブラザーズのブレザーといえば、まずは3つボタン段返りでウエストの絞り(ダーツ)のないボックスシルエットのいわゆるI型。ナチュラルショルダーやパッチ&フラップポケットにも注目です。伝統的にブルックスではフックベントではなく、あえて大人っぽいセンターベントを採用しています。袖ボタンは2つ。
生地はいろいろありますが、真夏と真冬以外は着られるというファインサージというウール地が基本でしょう。下3分の2ほど裏地のない背抜き仕立て。アメトラの世界だと冬用でも背抜き仕様だったりします。
Madisonフィットに加え、細身のMilanoフィットもあります。
- 「紺ブレザー」の基本的ディテールは、この6ヶ所を覚えよう - Men's EX
- 紺ブレザー1着で仕事も休日も 寛ぎ感はニットで演出|Men's Fashion|NIKKEI STYLE
- 仕事着だけじゃない! 紺ブレはあらゆる休日スタイルに着まわせます|雑誌Begin(ビギン)公式サイト
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2つボタンでセンターベント仕様のいわゆるII型も大定番商品です。といいますか、近年のアメリカの基本型はこちらでしょう。胸の絞り(ダーツ)が入っているのが特徴。腰ポケットは普通のフラップポケット仕様です。Madisonフィットは肩幅はI型よりも広め、着丈も長め。Regentフィットのものもあります。
ブルックス・ブラザーズには、ダブルブレストのブレザーもあります。6つボタン2つ掛け、サイドベンツ仕様の堂々とした仕上がり。
トロピカルウールは、春夏の大定番素材である薄手のウール地。日本の夏は暑いですから、この生地のブレザーも欲しいところです。もちろん背抜き仕立て。
ウールフランネル(フラノ)は、秋冬の大定番素材である厚手のウール地。秋冬のブレザーはこれに尽きる、というトラッドファンも多いのです。こちらは背抜きではなく総裏仕様。
こちらは、通気性と撥水性に優れるというブルックスクール(BrooksCool)地を使用したブレザー。イタリアはレダ(Reda)社のウール100%地を使用しています。シルバーボタンが付いています。
トラッド好きなら気になるブラックウォッチ柄のI型ブレザー、モヘア(モヘヤ)ウール混の生地は独特の張りと光沢が出て、特に春夏の高級生地によく使われます。背抜き仕立てのMadisonフィット。裏地が最小限で芯地も肩パッドも薄いアンコン型です。日本製。
I型ジャケット(サックジャケット)
こちらは、I型ジャケット各種。肩パッドや芯はそれなりに入っているテーラード型です。
- 秋冬から春先向けのちょっと珍しいウール製のデニム地。パッチ&フラップポケット仕様で、背抜き仕立てのMilanoフィット。メタルボタンが付いています。フックベント。日本製。
- トラッドの定番ツイードは、センターベントに3パッチポケット仕様で、背抜き仕立てのRegentフィット。いかにもアメトラらしいヘリンボーン織りはハリスツイード、40年代(1940年代)の柄を復活させたという柄はブルックス特製ツイード。
裏地が最小限で芯地も肩パッドも薄いアンコン型のI型ジャケットもあります。見た目の大きな違いは、肩幅だと思います。肩パッドが薄めなので肩幅が狭く見えます。
- ストレッチの効いたコーデュロイ(コール天)地は、Madisonフィットは3パッチポケットでセンターベント仕様、Milanoフィットはパッチ&フラップポケットでフックベント仕様。背抜き仕立てです。タンの色合いはちょっと珍しいかなと。日本製。
- ヘリンボーン織りのハリスツイード地、アンコン型もあります。パッチ&フラップポケットでフックベント仕様、背抜き仕立てでMilanoフィット。
- ウールデニム地のブレザーにもアンコン型が出ました。パッチ&フラップポケットでフックベント仕様、背抜き仕立てでMilanoフィット。日本製です。
- シアサッカーよりは凹凸が控えめでドレス感のあるコードレーン地。生地にはストレッチが効いています。これも春夏トラッドの定番生地。背抜き仕立てのMilanoフィット。日本製。
- シャツでおなじみのオックスフォード地。ストレッチが効いた生地を使用しています。薄手で見た目も涼し気な一着。背抜き仕立てのMilanoフィット。日本製。
Brooks Brothers Red Fleece(ブルックス・ブラザーズ・レッド・フリース)
レッド・フリース(Red Fleece)は、若い感覚のコレクション。Milanoフィットよりも身幅は細めで着丈は短めのものが中心です。胸囲は36SHTサイズで98cm前後が主。芯地や肩パッドなどが最小限のアンコン仕立てのものが多いのです。
「ウール シングル2釦 ブレザー」は、イタリアはマルゾット(Marzotto)社のウール地を使用した2つボタンサイドベンツ仕様のネイビーブレザー。総裏仕立てすがそれほど季節感はないようです。これは芯の入ったテーラード型。
他の記事も……
ネイビーブレザーを集めた記事や、テーラードジャケットを集めた記事、それにダブルブレストのジャケットを集めた記事がありますので、まずはそれらをご覧ください。「タグ / Brooks-Brothers」をご覧になると、当ブログのブルックス・ブラザーズに関する全記事を網羅できます。
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追記
- (2010年12月17日)商品を追加、入れ替え。
- (2011年5月14日)2011年春夏最初の更新。
- (2011年12月14日)2011年度秋冬最初の更新。
- (2012年4月28日)2012年春夏最初の更新。
- (2012年11月30日)2012年度秋冬最初の更新。
- (2013年5月11日)2013年春夏最初の更新。
- (2013年11月20日)2013年度秋冬最初の更新。
- (2014年5月11日)2014年春夏最初の更新。
- (2014年12月24日)2014年度秋冬最初の更新。
- (2015年5月11日)2015年春夏最初の更新。
- (2015年12月5日)2015年度秋冬最初の更新。ウエストコートは別記事へ。
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- (2017年5月13日)2017年春夏最初の更新。
- (2017年10月30日)2017年度秋冬最初の更新。
- (2018年4月17日)2018年春夏最初の更新。
- (2018年11月23日)2018年度秋冬最初の更新。
- (2019年5月16日)2019年春夏最初の更新。
- (2019年12月6日)2018年度秋冬最初の更新。
- (2020年4月23日)2020年春夏最初の更新。
- (2020年12月2日)2020年度秋冬最初の更新。
この記事へのコメント
いけぼう
ブルックスのお店に行くと、古き良きアメリカに来たような気がして幸せな気分になるのは、店の雰囲気でしょうか。
blackwatch
もしそんなに服に詳しくない人から「スーツのオススメは何?」という相談を受けたら、私はブルックスの2つボタンを推すでしょう。そういう安心感のあるブランドだと思います。
yamatoshi-1
イタリアものを着ると確かに垢ぬけて見えるのですが、着こなしが艶っぽくなりすぎて少々疲れる時があります。30半ばになってくると同じアメトラでもラルフよりブルックスの方がより肩肘張らずに着られるアイテムが多く心の琴線に触れてきます。いろいろな着こなしをしてきましたが、結局落ち着くのはアメトラなんですね。(笑)
blackwatch
今の流行がそういう方向に向いているということもあるのでしょうが、マジメな日本の社会人の人だとアングロサクソン的な着こなしがしっくり来る人が多そうに思います。
そんなことを考えながら、このブログを5年間続けてきた次第です。
syo
blackwatch
Brooks Brothersに限らずサック(I型)ジャケットと呼ばれているものは、ダーツはありませんが、細腹は基本的にはあるはずです(簡易なつくりのものは除く)。少なくとも手持ちのものはそうなっていました。昔のことはよく分かりませんが、ここ数十年はあまり変わっていないのではないでしょうか。
ダブルブレストについては、いまBrooks Brothersがつくっている6ボタンはダーツがありますね(きっと細腹もあるでしょう)。ちなみに、昔流行した「ニューポート」という4つボタンダブルにはダーツがありませんでした。
(2018年9月22日追記)
もう一度確認してみますと、I型は脇ダーツのみで(胸ダーツはない)細腹はありませんでした。当時は何かを勘違いしていたのでしょう。すみません……。
こばべん
さて、私は27年ほど前に買ったブルックスのツイードのグレーのヘリンボーン・ジャケットを持っており、今も現役で活躍してくれています。
そのジャケットに合わせるパンツは、
①ノーネクタイの時はブルージーンズ
②ネクタイをする時は黒のチノパン
が好きなのですが、問題は②のほうなのです。
ブルックスの店員に尋ねても、
「お勧めしません」という人と、
「とてもカッコいいと思います」という人に意見が分かれるのです。
blackwatchさんはどう思われますか?ご意見をお聞かせ頂ければ幸いです。
blackwatch
黒いパンツは、トラッドスタイル(アメトラ・ブリトラ)ではフォーマル時を除けばあまり使わない印象があります。ツイードを使うようなカントリースタイルではなおさら。「お勧めしません」と言う店員さんはそういう感覚なのではないかと想像します。
ただ、フレンチ・トラッド的な着こなしと解釈すれば、問題はないと思います。フレンチっぽい着こなしはこれから注目を集めそうですので、堂々と黒いチノパンをお穿きになってよろしいのではないでしょうか。