
今日は、ファッション関連の気になる意外な和製英語を集めてみました。なお、私は英語が得意なわけではありませんので、話半分でどうぞ……。
- ボーダー柄
「横縞」の意味で定着していますが、英語の “border” にそんな意味はありません。“border” には「縁取り模様」という意味もありまして、その模様に横縞が多かったことから、誤解されて広まったのではないでしょうか。
英語だと、“horizontal stripe” あるいは単に “stripe” でしょうね。そうそう、ボーダー柄といえばバスクシャツ、これもややこしい話があるのですが、また別の機会に。
- パーカー
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フード付きの(スウェット)シャツの意味で定着していますが、英語で “parka” ですとフード付きの「上着」を意味するようです。マウンテンパーカーやモッズパーカーみたいな。
フード付きのシャツは英語では、“hoodie” や “hooded shirt” でしょうか。最近の一部の日本のメディアでは、「フーディー」という言葉を目にするようになりました。
- タック、ツープリーツ、インプリーツ
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パンツ(ズボン)の腰部分のヒダを「タック」と呼んでいますが、これは英語では “pleat” です。まあこれはよく知られているでしょう。
「ツープリーツ(ツータック)」「ワンプリーツ(ワンタック)」は、それぞれ “double pleat”“single pleat” が対応。そして「ノープリーツ(ノータック)」は、“flat front” もしくは “plain front” と呼ばれることが多いようです。
ヒダが前向きに広がっている「インプリーツ(インタック)」は “forward pleat”、後ろ向きの「アウトプリーツ(アウトタック)」は “reverse pleat” です。
- キルティングジャケット
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これは和製英語というより文法の問題。“quilting jacket” だと「キルトをつくるときに着るジャケット」という意味になるのでは(ハンティングジャケットみたいに)。
キルトされたもの自体を日本では古くから「キルティング」と呼んでいたようで(英語の “quilting” にもそういう意味がなくはないのかも)、そこからキルティングジャケットという言葉が登場したと想像します。
英語だと “quilted jacket” でしょう、つまり現在分詞か過去分詞かの違い。“quilt jacket” という表現もよく見まして、日本語でも「キルトジャケット」でよいのでは。
- カバーオール
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これは有名だと思いますが、“coverall” は「つなぎ」、つまり上下がつながった作業服のことです。それがなぜか、日本ではジャケット丈の作業服(つまり下は付いていない)の意味になってしまいました。
英語だと、“chore coat” や “railroad jacket” あたりが相当するでしょうか。
- Uチップ
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甲にU字型のステッチ(モカ縫い)の入った靴で、ストレートチップやウイングチップから着想を得て命名されたのでしょうけど、これも和製英語でしょう。
対応する英語表現はいろいろありまして、“moc toe”“Norwegian front”“apron front”、そして爪先にステッチがあれば “split toe” などなど。……面倒くさいから「Uチップ」でいいやという気になるような。
ちなみに、まったく別の靴を “U-Tip” もしくは “U-Cap” と呼ぶことがあるようです。ヴィンテージの靴でしばしば見かけるデザインですね。
- ヴァンプ
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甲にモカ縫い以外の装飾のないスリッポン靴の意味で定着していますが、これはヴァン・ヂャケット(VAN Jacket)とリーガル(Regal)のコラボブランドであるヴァン・リーガル(VAN Regal)が命名したのだそうな。ちなみに “vamp” は英語では靴の甲部分の革という意味。
英語だと、“Venetian-style shoe” あるいは “Venetian loafer” あたりが相当するのでしょう。ベネチアと関係があるとされているのですね。
- ステンカラーコート
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由来が謎の和製英語の「大物」。なんと明治44年(1911年)には使われていたとのこと。私が調べた限りでは、明治39年(1906年)の書籍にもありました。
- コロンボ刑事 古びたレインコートに漂う親近感と貫禄|THE NIKKEI MAGAZINE
- 東京年中行事 2 - Google Books
- ステンカラー - 検索結果 - 国立国会図書館デジタルコレクション
「ステンカラー」に対応する英語、けっこう難しいのです。とりあえずは “balmacaan” とか “bal collar” とかなのでしょうけど、そもそも「ステンカラー」の定義がはっきりしない……。
- オープンカラー
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アロハシャツのような台襟のない「開襟」シャツの意味で定着していますが、英語で “open collar” だと単に第1ボタンを外した着方という意味になると思います。まあ、「開襟」なのは間違っていませんけど。
英語だとこのような襟は、“camp collar” あたりが相当するでしょう。
- ボディバッグ
ショルダーストラップが1本のみのバックパックのような鞄の意味で定着していますが、英語で “body bag” だとまずは「遺体袋」という意味になってしまいます。
“cross body bag” もしくは “sling bag” が「ボディバッグ」に近い鞄に相当すると思います。「クロスボディバッグ」というように「クロス」を付ければ無難なのでしょう(ただ、“body bag” でも文脈次第でそれなりに通じそうではある)。
- ボストン眼鏡、ウェリントン眼鏡
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日本のアイヴァン(Eyevan)という会社が1977年に発表したのが元という説がありますが、戦後すぐくらいにすでにこれらの呼称は使われていたようです。本当のところはどうなのでしょう。
それはさておき、英語だとボストン眼鏡は “P3”(軍隊由来)、もしくは “panto” あたりが相当するのでしょうか。ちなみに近年は、上部が角ばったクラウンパントが有名ですね。
- Looking for a perfect pair of round glasses? Check out the P3
- Fashionable Rounded Eye Glasses Online | Quality Reading Glasses | PANTO GLASSES
ウェリントン眼鏡に相当するのは、芸のない表現ですけど “rectangle” か、あるいは “wayfarer” か。しっくり来るのがイマイチないような。
- グルカサンダル
これは当ブログで以前取り上げました。英語ではグルカ兵とは関連付けていないようです。
あとがき

英語のサイトでも上記の言葉を使用していることがありますが、よくみると日本ブランドだったり、日本のお店だったり、あるいは(日本の影響を受けた?)アジア系のブランドやお店だったりすることが多いはずです。
トレーナーやスウィングトップなどのヴァン・ヂャケット(VAN Jacket)の造語については、有名でしょうから今回は対象外としました。発音の間違い系も対象外。
和製英語を使うのが必ずしも悪いこととは思いません。諸外国でも自家製外国語(?)は少なくないでしょうし。ただ、和製英語を認識しておくと、何かと役に立つのでは(特に外国では)。
人名の付いた和製英語は、むしろ趣を感じます。チルデンセーターとかダレスバッグとか。本人が草葉の陰でどう思っているかは分かりませんが。
それでは。
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