今日は、雑誌Lightning(ライトニング)2012年3月号を読んでみます。
心ひかれるタフなジャケット
大特集は「心ひかれるタフなジャケット」。いわゆるカバーオールに焦点を当てた特集です。なかなか力が入った特集ですので、当ブログで取り上げてみたくなりました。
カバーオールといえばアメリカとフランスが2大産地なのですが、この特集ではフレンチカバーオールについてはほとんど取り上げていません。基本的にアメリカのみです。悪しからず。
まずは、カバーオールの歴史や登場した背景などについて。1880年〜1890年代に登場したのだそう。
鉄道作業員や農家などの肉体労働に従事する者たちの作業着として作られたジャケットですね。実は “カバーオール” は和製英語で、アメリカでは “チョアジャケット” と呼ばれることが多いんです。
和製英語についてはお約束の説明ですね。英語ではチョアコート(chore coat)とも呼ばれます(着丈が長くなくても)。以下の当時のカバーオールの位置付けも興味深いなと。
同じカバーオールでも西と東とで違いが見られます。例えば西の労働者の写真を見ると、そのデニムの表情からかなり着込まれていることが伺えます。おそらく一着を着続けていたのでしょう。逆に東の労働者、特に鉄道作業員はヒッコリーストライプやウォバッシュのカバーオールを綺麗に着こなしていて、自らの仕事にプライドを持っているように感じられます。
鉄道作業員や農家などがカバーオールを着用していたのに対して、カウボーイは短丈のGジャンを着ています。騎乗する際に裾が邪魔になるという機能面もそうですが、こちらも自身の仕事にプライドを持ち、カバーオールを着ることを嫌がったという面もあるようです。
時代によって仕様は変化していまして、特にシルエットの変化は大きな特徴といえます。
ワークウエアのシルエットは大戦前後で大きく変化する。1930年代まではテーラーメイドジャケットの名残がまだ強く、肩幅に対して裾幅が広いAラインのシルエットが主流だが、1940年代半ば(第二次世界大戦後)になると大量生産へと時代が変わり、肩幅と裾幅が同等のゆったりとしたボックス型シルエットへと変化していく。
さて、アメリカ軍の陸軍や海軍でもカバーオール風のジャケットが採用されています。初期にはプルオーバー型のものもありました。
生地については、デニムやコットンダック、ヒッコリーストライプ、それにウォバッシュストライプが代表格。ヨーロッパのワークウェアに多いモールスキンは、アメリカ物ではあまり使われていないと思います。
仕様については、特にカフスとポケットに目を引く特徴があります。
- 知れば知るほどおもしろい「カバーオールの基礎知識」〜基本ディテール編〜 | Dig-it [ディグ・イット]
- 保存版! 知れば知るほどおもしろい「カバーオールの基礎知識」〜押さえておきたいワークウエアのキーワード〜 | Dig-it [ディグ・イット]
あとがき
トラッドやコンサバなスタイルの歴史においては、カバーオールはあまり使われてこなかった服といえます。ワークウェアの印象が強いのでしょうね。ジージャンのほうがトラッドにはまだ使いやすいでしょう。
ただ、テーラードジャケットがあまり着られなくなってきた昨今、それに代わる服として注目されているように思います。
都会的に大人っぽく着こなすなら、凝ったステッチワークなどは控えめで、ボックスシルエットのものが着こなしやすいのでは。ちなみに私は、いまは亡きポインター・ブランド(Pointer Brand)のものをよく着ています。
そうそう、つなぎの服ではない「カバーオール」は和製英語のはずなのですが、英語圏で商品名として採用しているジャケットがありました。おそらく比較的近年の商品だと思います。どう考えればいいのかなぁ(まさか日本の影響とか……)。
前回のLightningの記事はこちら。
それでは。
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