
今日は、ジャラン・スリウァヤ(スリワヤ、スリウィジャーヤ、Jalan Sriwijaya)の革靴(靴、シューズ)、ブーツを取り上げます。《最終更新日: 2016年1月21日》
Jalan Sriwijaya(ジャラン・スリウァヤ、スリワヤ、スリウィジャーヤ)
ジャラン・スリウァヤの母体の会社は、もともとは1919年創業のインドネシアの靴工場だったそう。その後イギリスのノーザンプトンにて本格靴の製造技術を習得し、2003年に「ジャラン・スリウァヤ」ブランドが誕生しました。インドネシア製です。
ここの靴の特徴は、ハンドソーンウェルト(ウェルテッド)製法とグッドイヤーウェルト製法を交ぜた製法を採用していること。具体的には、すくい縫いはリブテープを使わない手縫い、出し縫いはグッドイヤー式の機械縫いで、「九分仕立て」とも呼ばれる製法です。
これで何がうれしいのかというと、リブを使う通常のグッドイヤーウェルト製法特有の靴底の「返り」の悪さがないので、履き心地が柔らかくなるということ。ビスポーク靴で採用されることの多いこの製法がこの値段なのは、破格だと思います。インドネシアの人件費が安いからできる芸当でしょう。
ちなみに、近年復活したフランスのG・ロッドソン(G. Rodson)はここが手がけているそうです。
木型(ラスト)
代表的な木型(ラスト)は、以下の2つです。
- 11120
ノーズが少し長めでスマートかつエレガントなラウンドトウ。なんとなくジョン・ロブ(John Lobb)っぽい雰囲気を感じるかも。
- Edward(エドワード)
11120よりもノーズが短めで、トラッド寄りのとにかく普通な雰囲気が魅力のラウンドトウ。

ストレートチップ(キャップトウ、キャップトゥ)

まずは、ドレスシューズの基本であるストレートチップ(キャップトウ、キャップトゥ)。
98317は、パーフォレーション(ブローグ)もメダリオンもない基本的な内羽根式のストレートチップ。冠婚葬祭(フォーマル)にも使えますので、1足は欲しい靴といえます。木型は11120で、半カラス仕上げの革底(レザーソール)仕様。
甲革(アッパー)にはフランスの名門デュプイ(Du Puy)社の皮革(レザー)を使用しています。
98321は、98317のダイナイトソール(Dainite Sole)仕様版。ゴム底(ラバーソール)といってもご覧のようにドレス度が高いのが特徴。雨に強いので、最初に買うドレスシューズとしてこれはかなりオススメできます。
こちらは、メダリオンがなくてパーフォレーションがあるいわゆるクォーターブローグ型のキャップトウ。微妙なバランスが魅力で、普通のビジネススーツにとても合わせやすいでしょう。木型は11120でダイナイトソール仕様。
98441は、いわゆるセミブローグ。この手の甲にU字状のパーフォレーションが施された靴は、俗にアデレード(アデレイド)と呼ばれています。この手の靴を街で見かけたら、私は思わず二度見しちゃいますね。粋な靴です。木型は11120で革底仕様。
こちらは、木型Edwardのストレートチップ。この普通っぽさが魅力です。ジャケットリクワイヤード(Jacket Required)さんの別注商品で、ダイナイトソール仕様。
モンクストラップ

次は、実はスーツにもジーンズにも合う最強靴との意見も多い(?)モンクストラップ。
98374は、とにかくお洒落っぽい印象のダブルモンクストラップ。木型は11120で革底仕様。
こちらは、木型Edwardのダブルモンクストラップ。ちょっと雰囲気が変わります。ダイナイトソール仕様。
ウイングチップ(フルブローグ)

次は、カントリー寄りの雰囲気が気分のウイングチップ(フルブローグ)。
こちらは、典型的なデザインの内羽根式ウイングチップ。トラッド寄り(カントリー寄り)のビジネススタイルに合いますし、茶色ならカジュアルスタイルにも合わせやすいでしょう。木型はEdwardでダイナイトソール仕様。
こちらは、まさにアメリカンな雰囲気のロングウイングチップ。ストームウェルト仕様でコバが張り出していて、さらに型押しのグレイン革を採用していることもあって、迫力があります。雰囲気としてはイギリスっぽいかも。木型はEdwardでダイナイトソール仕様。
ネイビーもありまして、まさに個性的な仕上がり。これは革押し革ではありません。
プレーントウ(プレーントゥ)

次は、甲に何も飾りがなくて中立的な靴であるプレーントウ(プレーントゥ)。
こちらは、外羽根式でストームウェルトの付いたプレーントウ。アメリカ型のプレーントウといえますが、コバはそれほど張っていなくてすっきりしています。木型はEdwardでダイナイトソール仕様。
98651は、型押しのグレインレザーが渋い外羽根式プレーントウ。木型はEdwardでダイナイトソール仕様。
こちらは、スエード(スウェード)地の98651。特にタバコ色は色遣いが独特で魅力的だなと。これはストームウェルトはなくすっきりしていてい、革底仕様。
Uチップ

こちらは、乗せモカでストームウェルト仕様のまさにフランス型のUチップ。フレンチ・スタイルとの相性は抜群です。木型はEdwardでダイナイトソール仕様。
チャッカブーツ(チャッカーブーツ)

98322は、ブーツの中でも一番幅広く使えそうなチャッカブーツ(チャッカーブーツ)。木型は11120でダイナイトソール仕様。端正な雰囲気といえます。
こちらは、木型Edwardのチャッカブーツ。鳩目が3組(3アイレット)になっているのも特徴です。個性的な色展開にも注目してください。ダイナイトソール仕様。






サイドゴアブーツ、レースアップブーツ(編み上げブーツ)

次は、そのほかのドレス寄りのブーツ。
98411は、ブリティッシュ・スタイルやフレンチ・スタイルと相性の良いサイドゴアブーツ(チェルシーブーツ)。木型は11120でダイナイトソール仕様。
こちらは、木型Edwardのサイドゴアブーツ。個性的な色展開にも注目してください。ダイナイトソール仕様。






98365は、Uチップ型のレースアップブーツ(編み上げブーツ)。カジュアルスタイルならかなり幅広く使えるのではないでしょうか。木型は丸みを帯びたラウンドトウの1663で、柔らかな履き心地のクレープソール仕様。
98709は、Uチップ型の丈の短いブーツ。スエード地ならドレス感のあるデザートブーツで履きこなせるのでは。木型はEdwardで革底仕様。
ペニーローファー(コインローファー)

次は、ローファーなどのスリッポンの靴を。
98589は、ローファーの基本のペニーローファー(コインローファー)。これはですね、要するにフランス型のペニーローファーですね。当然のことながら上品なフレンチ・トラッドと好相性でしょう。木型は18045で、革底仕様。
こちらは、スエード地の98589。この爽やかな色遣いが魅力です。革底仕様。
98248は、ベネシャン型のローファー、通称コブラヴァンプです。往年のアイビーファンの人なら見逃せないでしょう。トラッドっぽさが薄まるのも特徴です。革底仕様。
その他
その他のジャラン・スリウァヤ(スリワヤ、スリウィジャーヤ)の靴やブーツは、こちら。
他の記事も……


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革靴のお手入れの方法
追記
- (2012年8月8日)2012年春夏最初の更新。
- (2013年2月12日)2012年度秋冬最初の更新。
- (2014年6月7日)2014年春夏最初の更新。
- (2015年1月28日)2014年度秋冬最初の更新。
- (2016年1月21日)2015年度秋冬最初の更新。
この記事へのコメント
しんいちろう
KITSUNE
今の所、自分のは問題もなくガシガシ履いてます^^最近ではメンズノンノなどにも掲載されて、注目されてきたようですね。
blackwatch
以前Men's EXの靴の分解記事のとき、同様のコメントをいただきましたよね。しんいちろうさんのJalan Sriwijayaは個体差の「ハズレ」のヤツだったような気もしますが、強いて言えば丈夫さよりも履き心地を優先したつくりといえるのかもしれませんね。
http://blackwatch.seesaa.net/article/185629679.html
KITSUNEさん、こんにちは。
九分仕立て云々はおいておくとしても、この値段でこの見た目の靴はかなり魅力的ですよね。本格靴入門用の靴にしておくのはもったいないかも。
minao
最近セールでこのメーカーの98321の黒を冠婚葬祭用として購入したのですが、
この手の靴はカジュアルな格好にはあまり合わせないものなのでしょうか?
凄く気に入って冠婚葬祭用だけでは勿体無いなと思ったんですが、
普段仕事でスーツを着る機会すらほとんどないんですよね…
blackwatch
合わせようと思えば、例えば黒ジャケットにグレーウールパンツといった着こなしに合わなくもないでしょう。ただ、「どうしてスーツ用の靴を履いているのだろう」と他人に思われないようにするには相応の着こなし術が必要でしょうね。また、98321は比較的爪先がシュッとしていますので、近年主流の裾幅が細いパンツは難しいかも。
茶色の98321、もしくは黒でもセミブローグあたりだと、ツイードジャケットなどと合わせやすくなるのですが。もしくは、もっと丸っこい木型(ラスト)の靴か。
ヤマウチ
こんにちは。
就職活動のためにJalan Sriwijayaの98321を購入しようか検討しています。
Alfred SargentのEpsomとどちらを買おうか迷っています。
両方黒のストレートチップということで形式的には問題ないですが、デザイン的に少し気になる点があります。
Alfred Sargentの方は正統派というかベーシックな英国靴のシェイプだという印象です。
それと比べてJalanは、少しノーズが長くドレスシューズにしては少しコバが張り出しているような気がします。
あくまで自分の印象です。
Alfred SargentのClassic Collection(今はCity Collection?)がガラスレザーであることや、Jalanの価格が安いことからできればJalanの方に決めたいなと考えているのですが、デザイン的にはAlfred Sargentの方が好きです。
そこで聞きたいのですが、このJalanのシューズのデザインはそこまでイレギュラーなものではないのでしょうか??
Jalanのシェイプもベーシックなものなのでしょうか。
革靴は好きなので就職活動終了後ももちろんベーシックな黒ストとして使っていきたいと思っています。
アドバイスよろしくお願いします。
blackwatch
Sriwijayaの11120ラストは、私が思うになんとなくJohn Lobbを意識しているのでないかと。仰るとおり若干ロングノーズ気味ですので、どちらかというと裾幅が狭めのパンツよりは裾幅が広めのパンツのほうが似合うような気がします。また、身長のわりに足が小さい人にも向いています。コバはそんなに張っているとは私は思いませんねぇ(別注の靴とかでは仕様が違うのかも)。
Alfred Sargentの皮革は、言うほど悪いとは私は思いません。実用的な皮革かなと。仰るとおり、どちらかというとこちらのほうが無難な木型だとは思います。
minao
手持ちの服で色々と試してみようと思います。
駄目なら駄目で冠婚葬祭専用として使えばいいだけのことですし。
コストパフォーマンス的にはちょっとアレですけど。
丁寧な返答ありがとうございました。
blackwatch
まあそうですね。あまり欲張らずに割り切って考えたほうが無難だとは思います。
ダックススキー
カジュアル用にジャランスリウァヤの98589のローファーを購入を考えています。しかし、私は高校生なのでこれをカジュアルで履くとバスなどのローファーに比べてドレッシー感が強くて違和感があるようにも思います。
ただ、作りもしっかりしていてガラス革のローファーと違い大切に手入れをして使うと何年も(うまくすれば一生もの?)使える靴であるという点で魅力的です。
これは高校生が履くとドレッシー感が強く違和感があると思いますか?
そして若いうちはカジュアル感が強い形のガラス革のローファーを履いていた方がいいでしょうか?
アドバイスお願いします
blackwatch
Jalan Sriwijayaは比較的お手頃価格のブランドとはいえ、高校生の方にはちょっと贅沢かなぁという感は正直言ってあります。一般論として、高校時代に買った革靴を(一生はともかく)5年、10年も履く人は多くなさそうな気がします。
まず、サイズ選びやお手入れで失敗する可能性が低くなさそうですし、身体もまだ大きくなる可能性もあります。それに、学生のうちは服の趣味が変わりやすいのものなのですよ。
ただ、デザイン的には高校生が履いても大きな問題はないと思いますので、おカネに余裕があるのであれば入手するのは問題ないと考えます。
ダックススキー
買おうと思って一度店で実物を見てみると「まだ早い」と靴に言われたような気がして、思いとどまっていたところでして。
自分に合う物を身に着けることもファッションでは重要でしょうし、体の成長も収まってきたとはいえ、成長するまではもう少し低めの価格帯のブランドを履いていこうと思います。
ありがとうございました。
blackwatch
私が書いたのは一般論でして、高校時代に買った高級靴がその後の人生を豊かにした、という事例も少しはあるのでしょう。仮にその靴自体が失敗だったとしても、その失敗で得るものもあるでしょうし。
でもまあ、なんとなく欲しい、くらいの状況であればやめておいたほうが無難なのでしょうね。セールなどでかなり安くなっていれば狙う手もあります。
tomy
ジャランスリウァヤの98589のローファー(サイズ9)を購入し、現在シューツリーの購入を検討中です。おすすめのシューツリーはありますか?
高価なシューツリーを購入するつもりはないのですが、長く履きたいとも思ってもいるので、価格帯についてもどうしたものか悩んでいます。
ご教示いただけるとありがたいです。
blackwatch
私が持っているシューツリーで多いのが、こちらの記事で紹介しているマーケン(Marken)のものです。
http://blackwatch.seesaa.net/article/4598640.html
ただ、これがJalan Sriwijayaの靴に合うのかはよく分かりません……。また、同じSriwijayaの靴でも木型によって合うシューツリーも微妙に変わってくるかもしれません。
シューツリーの長さが足りないのは論外ですが、甲部分は大きすぎるよりは少々小さいほうが無難と考えています。変形するのはイヤですから。
ちなみに、自宅に数種類シューツリーを用意しておくと、どれかは合うだろうと気持ちに余裕を持てます……。