今日は、『50s&60sメンズ・ファッション・スタイル』という本をご紹介。
まず、この本がどういう本かというと、実はイマイチ説明がなくて私にもはっきりとは分かりません(汗)。たぶん、1950年創刊の日本初の男性ファッション雑誌である男子専科に1950年代から1960年代にかけて掲載されたイラストを集めた本、だと思います……。写真は1枚もありません。
男子専科は1980年代くらいにDansenと改称され、いまは存在しない雑誌です。少なくとも創刊当時くらいの特徴は、どうやら仕立て屋(テーラー)でつくることを前提としていること。掲載されたイラストを仕立て屋に持っていって、同じような服をつくってもらっていたのでしょう。創刊当時の50年代は、まだお洒落な既製服がない時代だったのだと思います。
読んでみて、思ったことをいくつか。
- スーツがいまよりもカラフル
1961年5月号によると「男子モードの基本色はグレー、ブラウン、ブルー、グリーン」だそうで、スーツにもこういう色を積極的に採用しています。特にグリーンスーツは印象的で、コットンならまだありそうですがウールだと90年代以降はあまり見なくなりました。いま再び新鮮だと思うのですが、いかがでしょう。
- 色合わせの解説が丁寧
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Vゾーンやアウター・インナー、トップス・ボトムス、そういう色合わせの説明イラストが多いなと。近年の雑誌ではこういう解説は少なくなった気がします。ちょっと残念。
- コンテンポラリースーツ(コンポラスーツ)
1960年代後半くらいに人気があったスーツで、1つボタン、ナローラペル、フラップなしの両玉縁ポケットといったところが典型的な仕様でしょうか。いまでは少なくともコンサバな人は着なくなったスーツだと思います。
コンポラスーツに限らず、当時はアメリカのIACD(International Association of Clothing Designers、国際衣料デザイナー協会)という団体が発表するスタイルに影響力があったようです。
- コンチネンタルスーツ(コンチ)
直訳すると大陸のスーツ。70年代くらいまではこの言葉がよく使われていたように思いますが、いまは聞かなくなりましたねぇ。大きくフランス風とイタリア風に大別できるそう。
フレンチ・コンチネンタルはドロップショルダー、胸にボリュームを持たせウエストを絞ったV字型シルエット、上着丈は短めでテーパードパンツといった特徴。イタリアン・コンチネンタルはとりあえずフレンチよりもスリム。コンチという言葉は聞かなくなりましたが、この手のスーツはいまでも普通に健在です。ちなみに70年代のコンチというと、フレアパンツだったはず。
この本には巻末に当時の用語辞典が載っていまして、これもなかなか興味深いですよ。上のコンチやコンポラなどの説明もそれを参考にしました。
というわけで、はっきり言いまして少なくとも初心者向きの本ではありません……。マニア向けか、もしくは当時を懐かしがりたい人向けでしょう(後者の人を意識した編集の仕方だと感じました)。のんびり読んでいたら、アマゾンの在庫がもうなくなっちゃいましたねぇ。
追記: いつの間にかこんなサイトがありました。
それでは。
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