今日は、エラスティックシューズ(靴)、ドレススリッポン型の革靴を集めてみました。
エラスティックシューズとは
エラスティックシューズは、靴ヒモ(シューレース)のないスリッポン型の靴の一種。履き口にゴム(エラスティック)を施し、脱ぎ履きしやすいようにつくられた靴です。
履き口の左右の側面にゴムがついた靴をサイドエラスティックシューズ(elastic sided shoe)、真ん中にゴムがついた靴をセンターエラスティックシューズ(elastic on instep shoe)と呼ぶそうな。
ペニーローファーなどが丸っこくショートノーズの木型(ラスト)でカジュアル寄りのものが多いのに対し、エラスティックシューズは細身の木型でドレス寄りのものが多い傾向があります。その結果、ペニーローファーなどは一般的にスーツに合わないといわれているのに対し、エラスティックシューズはスーツに合うものが多いです。
Union Royal(ユニオン・ロイヤル)のUnion Imperial(ユニオン・インペリアル)
ユニオン・ロイヤル(Union Royal)は、1952年創業の日本の老舗靴メーカー。ユニオン・インペリアル(Union Imperial)は、ユニオン・ロイヤルの最高峰ラインです。
ユニオン・インペリアルの中でも特に注目なのが、手作業によりウェルトを縫い付けるハンドソーン・ウェルト製法(九分仕立て)を使用したライン。グッドイヤーウェルト製法の原型的な製法で、グッドイヤーウェルト製法特有の履き心地の固さがないのが利点です。手作業のすくい縫いは中国、出し縫い(これは機械かな?)と仕上げは日本で行うことで、この値段を実現させているのだそうな。
U1106は、クラシックなブリティッシュスーツにも格負けしない端正なサイドエラスティックシューズ。凝った仕様の革底にも注目してください。実際の値段以上に見える靴です。
G. Rodson(G・ロッドソン、ジー・ロッドソン)
G・ロッドソン(ジー・ロッドソン、G. Rodson)は、1982年に誕生したフランス人のジェラール・セネ(Gerard Sene)氏が手がけるブランド。往年のハリウッドスターの服を意識したコレクションで特に靴に定評がありましたが、靴を生産していたイギリスの工場が閉鎖されたことを受け、惜しくもこのブランドは終了となってしまいました。
しかし、一部の靴マニアに人気だったこのブランドが、なんとインドネシアのジャラン・スリウァヤ(Jalan Sriwijaya)製で復活しました! 独特のちょっととがった(でも近年の下品なトンガリ靴とは完全に一線を画す)木型(ラスト)はそのままです。以前よりつくりが良くなっていたりして。
代表作は、ケーリー・グラントの愛用靴から着想を得たというサイドエラスティックでUチップ風のステッチが入ったGrant(グラント)。Hitchman(ヒッチマン)は、まさにスーツにピッタリのパンチトキャップトウ(パンチドキャップトゥ)のサイドエラスティックです。
ゴムが入っていないスリッポンもありまして、履き口は広めになりますがドレッシーな雰囲気はあまり変わりません。Monterey(モンテレー)はパーフォレーション(ブローグ)が入った小粋なスリッポン。Reno(レノ)は、左右非対称(アシンメトリー)のデザインが印象的なスリッポンです。
いずれの靴も、1950年代風の格好が合いそうなクラシックな仕上がりです。
TOMODAのパーソナルオーダー(宮城興業)
どうしても既成靴では足が合わない人や、気に入った色のものがない人は、靴屋TOMODAのパーソナルオーダーシステム、誂え靴「友郎(Tomorow)」はいかがでしょう。
甲革(アッパー)の色や素材、や靴底(ソール)の形式が選ぶことができるのはもちろんのこと、サイズもlength(足長)だけでなく、width(足囲、ウィズ、ワイズ)も選択できます。なんと、D、E、EE、EEE、EEEE、Fの、6種類! 注文するときには、サンプルシューズ(ゲージ靴)が送付されて試し履きができるので、通販でも安心です。
製法はもちろんグッドイヤーウェルト。デザインも非常に正統派で、長く愛用できること間違いなし! 値段については、パーソナルオーダー(パターンオーダー)にしてはたいへん良心的だと思います。
ES-17(「律」)はサイドエラスティックシューズ、ES-18(「歌」)とES-19(「幸」)はゴムが表からは見えないセンターエラスティックシューズです。タッセル型のエラスティックはちょっと珍しいかな。
チゼルトウのものもありますが、このブログとしてはラウンドトウのものをオススメしたい。
なおここのオーダーシューズは、宮城興業の工場でつくられています。靴好きにはけっこう有名なところです。
Yuketen(ユケテン)
日本人がデザインするユケテン(Yuketen)は、1989年に誕生したアメリカの靴ブランド。
こちらは、ウイングチップ型のスリッポン。ヒモ靴と同じような感覚で履きこなせるドレッシーな仕上がりです。グッドイヤーウェルト製法。
ペニーローファー、タッセルローファー、ビットローファー、……
スリッポンといえば、ペニーローファーやタッセルローファー、ビットローファー、コブラヴァンプなどが代表格でしょう。
別記事で取り上げていますので、じっくり検討してください。
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この記事へのコメント
いけぼう
Gロッドソンのスリップオンはすごく気になります。
なかなか実物を見ることができなくていまだに手を出せていません。
blackwatch
G. Rodsonみたいなドレススリッポンは、他ブランドではなかなかないのですよね。日本人向きの靴だと思うのですけど。あと、独特な木型も魅力です。
シュガーレス
リーガルのパターンオーダーでエラスティックシューズを作ろうと考えています。サイドエラスティックで、セミブローグ、明るめの茶色のものを考えています。紺ブレにジーンズ、ジャケパンと言ったカジュアルな格好に合わせるつもりです。ですが、自分に似合うかどうか、着こなしが難しいかなと考え迷っています。サイドゴアブーツの短い版と考えれば、コーディネイトは難しくないのかもしれないですが、私はあまりサイドゴアブーツを履いたこともないので、自分が着た時のイメージが沸きません。ブラックウォッチさんはサイドエラスティックシューズのカジュアルな着こなしをどうお考えですか? 合わせやすい、合わせにくい、履く人を選ぶ、選ばないなど、お聞きしたいです。
blackwatch
All Aboutの記事が参考になると思うのですが、サイドエラスティックはサイドゴアブーツというよりも「内羽根式」の靴に近いと私も思います。つまり、淡茶色の内羽根式セミブローグを履きこなせるか、ということを考えてみてください。
紺ブレにジーンズという着こなしには、特に問題なく合うと思います。ただ、紺ブレといってもサイドエラスティックだと良くも悪くもあまりアメトラっぽくはならないでしょう。淡茶色ということもあり、イタリアっぽい雰囲気でまとめるほうがやりやすいかと。
ちなみに、強いて言うとサイドエラスティックはブリティッシュ寄りでドレス寄り、センターエラスティックはアメリカ寄りで少しカジュアル寄り、といえると考えます。まあそんなに変わらないので「強いて言えば」ですけど。
シュガーレス
All Aboutの記事読みました。紐靴も好きなんですが、日本で生活しているとスリッポンの着脱の安易さがやはりうれしいです。ローファーもいいんですが、それ以外の選択肢を探して行き当たり、興味を持つようになりました。
もし購入したら助言を考慮しつつ、BDシャツとショーツに合わせたり、いろいろ鏡の前で試してみようと思います。
最後に、汎用性の高さでは、よくあげられるモンクストラップシューズの方が軍配が上がりますかね?
blackwatch
ブルゾンなどに合わせることを視野に入れるのであれば、モンクストラップのほうが合わせやすいかもしれません。まあこのへんはご本人の趣味や、そのときの流行次第でしょう。
ドレス寄りのスリッポンでは、タッセルローファーもオススメできます(まだお持ちでないならば)。ボタンダウンシャツにショーツという着こなしならこれが一番合わせやすそう。