今日は、チャーチ(Church's)の革靴(靴、シューズ)を取り上げます。《最終更新日: 2014年6月9日》
Church's(チャーチ)の靴
チャーチは、1873年創業のイギリスの老舗靴ブランド。(近年は買収されたりとかいろいろありましたが)英国靴ブランドは数あれど、イギリスを代表する既製靴ブランドといえばこのチャーチでしょう。
以前紹介した "Gentleman" という本でも、一番大きく取り上げられているのはチャーチです。
チャーチの靴が工場でどのようにつくられているかは、こちらの記事をどうぞ。本格靴をつくるのがこんなに大変だなんて、皆さんご存じでした?
チャーチの靴の製法は、一部のカジュアルシューズを除いてもちろん堅牢なグッドイヤーウェルト製法ですよ。
Church's(チャーチ)の木型(ラスト)
木型(ラスト)は、靴の履き心地や見た目に大きな影響を与えます。以下、代表的な木型をご紹介(私はチャーチの木型についてはあまり詳しくないのですが)。
- 173番(73番の復刻版)
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かつて多くのドレスシューズに採用されていたのが、73番の木型。ほんのちょびっとセミスクエアなトウが品があって、カルト的な(?)人気がありました。
173番は、その73番に復刻版。現代人の足型に合うよう調整されているとのこと。
- 100番
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もともと73番の後継として開発されたのは、実は100番の木型なのです。73番より丸みを帯びたトウが特徴。
- 81番
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81番は、ラウンドトウ(ラウンドトゥ)でボリュームのあるカジュアルな木型。主に、スエード(スウェード)の靴によく使われているみたい。
- 103番
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103番も、ラウンドトウでボリュームのある木型。100番台ということは、新しい木型なんでしょうね。
今日紹介しているチャーチの靴は、多くがFitting(フィッティング、width、ウィズ、ワイズ、足囲、足幅)は "F" です。チャーチのwidth表記は独特なのですが、Fで一般的なイギリス靴くらいの幅だと思います。
- 英国靴といえばやっぱりチャーチ 木型から見る、チャーチの魅力! - [メンズファッション]All About
- チャーチを知り尽くした男、フォックス氏に質問! やっぱりチャーチが好き! - [メンズファッション]All About
アメリカのAmazon.comでも扱っています。
キャップトウ(キャップトゥ、ストレートチップ)のConsul(コンサル)、Diplomat(ディプロマット)、……
まずはドレスシューズの基本、キャップトウ(キャップトゥ、ストレートチップ)からご紹介。
Consul(コンサル、コンスル)は、内羽根式(バルモラル)のストレートチップ。穴飾りがないので、冠婚葬祭(フォーマル)にも対応します。もちろん革底(レザーソール)仕様。
Consulは、チャーチを代表する名品のひとつ。旧名はOsborne(オズボーン)だそうですが、まあ元の名前に戻ったというところか。木型は173番。
Diplomat(ディプロマット)は、パーフォレーションとメダリオンが付いたセミブローグ。迫力のある穴飾りが、チャーチらしくて良いですね。これも名作。
旧名は、Highgrove(ハイグローブ)。木型は173番で、革底。
フルブローグ(ウイングチップ、ウィングチップ)のBurwood(バーウッド)、……
次は、実は一番チャーチらしい靴かもしれないフルブローグ(ウイングチップ、ウィングチップ)。
Chetwynd(チェットウインド、チェットウィンド)は、内羽根式のフルブローグ。これも名作です。
旧名は、Sandringham(サンドリンガム)。木型は173番で革底仕様。
Grafton(グラフトン)は、外羽根式の木型173番のフルブローグ。ビジネススーツに合わせてもいいですけど、外羽根式ですからツイードジャケットなどのカントリースタイルにもバッチリです。革底。
- Church's GRAFTON | Official Blog | District
- Grafton CHURCH'S(チャーチ) - boq.jp
- 外羽根式シューズ 愛着度ベスト3 (2/3) - [メンズファッション]All About
ちなみに、あのドラガン・ストイコビッチの伝説のゴール(?)時に履いていた靴が、どうやらこのGraftonのようです。
Burwood(バーウッド)は、ぽってりした木型81番のフルブローグ。カントリースタイルに合わせてみてはいかが。革底。
チャーチのフルブローグについては、こちらの記事も参考になります。
プレーントウ(プレーントゥ)のShannon(シャノン)、……
Shannon(シャノン)は、外羽根式(ブルーチャー)プレーントウの名作中の名作。
シャノンといえば、甲革(アッパー)にツヤのあるブックバインダーカーフを使用していることで有名でした。靴好きはこの手のガラスっぽい革を好まない人が多いのですが、ブックバインダーは例外的に人気がありましたね。現行のポリッシュトバインダー(ポリッシュドバインダー)も、基本的にはブックバインダーと同じものだそう(ホントかどうかは知りません)。
木型は103番。靴底はゴツいダブルレザーソール。
Men's EX(メンズ・イーエックス)の2008年3月号において、Shannonはオールデン(Alden)の990と比較されていました。よく似ていますが、Shannonは木型が丸みを帯びていてよりカジュアルな雰囲気といえます。
モンクストラップのBecket(ベケット)
次は、実はスーツにもジーンズにも合う最強靴との意見も多い(?)モンクストラップ。
Becket(ベケット)は、まさにモンクストラップらしいモンクストラップ。私はこういうシンプルで何気ないモンクストラップが好みですね。木型は173番で革底仕様。
このBecketは、80年代(1980年代)にも人気があったようです。ビームス(Beams)の店員さんはみなさん履いていたとか。フレンチスタイルにもよく合いますよ。
Cows(カウズ?)は、ダブルモンクストラップ。華やかすぎずチャーチらしさを残したダブルモンクといえるかな。木型は173番で革底仕様。
スリッポン、タッセルローファー(タッセルモカシン)
Keats II(キーツ2)は、タッセルローファー(タッセルモカシン)。うん、これは非常にタッセルらしいタッセルで、好感が持てますね。アメトラならスーツに合わせても問題ありません。
木型はラウンドトウの93で、革底仕様。
Pembrey(ペンブリー)は、セバゴ(Sebago)でおなじみのビーフロール仕様のローファー。裏地のないアンラインド仕様で革底仕様、よりカジュアル感の強いローファーに仕上がっています。イギリス人がアメリカ靴をつくるとこうなるというところです。木型はスリッポン用の126番。
クレープソールのチャッカブーツ(チャッカーブーツ)のRyder(ライダー)
Ryder(ライダー)は、着こなしの幅が広いスエード地のチャッカブーツ(チャッカーブーツ)。これも名品中の名品です。木型は81番で、クレープソール仕様。
- CHURCH’S(チャーチ) - スエード×クレープソールのチャッカはカジュアルなビジネススタイルに必須です - boq.jp
- アンジェリーナ・ジョリー姉さんのようにグラマラスでっす!【チャーチ】-みんなの買い物日記-雑誌 MEN'S EX 公式サイト
- ROUND TOE|ELEMENTS OF STYLE
Fairfield(フェアフィールド)は、スエード(スウェード)地のフルブローグ。これも名作。名作がインフレ状態ですが(汗)、本当なんだからしょうがない。
木型は81番でクレープソール仕様。
Sahara(サハラ)は、裏地のないいわゆるアンラインド仕様のチャッカブーツ。ふにゃふにゃの軽い履き心地が楽しめます。カジュアルな外鳩目(鳩目の金属が露出している)にも注目してください。木型はラウンドトウの81番。
端正な革底仕様のものに加え、デザートブーツのようなクレープソール仕様のものもあります。
Sahara 3(サハラ3)はクレープソール仕様のSaharaで、チャーチ版のデザートブーツといえるかな。クラークス(Clarks)はどちらかというと履きつぶす感じの靴ですが、これは長持ちする靴です。木型は81番。
Ryder 3(ライダー3)は、ドレッシーなゴム底(ラバーソール)であるダイナイト・ソール(Dainite Sole)を使用したモデル。より多目的に使えそうなRyderといえるでしょう。
高級ライン
チャーチには高級ラインがありまして、木型には細身の137番を使用しています。シューツリーやブラシ、靴べら、ワックス(ポリッシュ)も付いています。上品で高級感のある雰囲気はさすがです。
Lamport(ランポート)はキャップトウ、Chatsworth(チャッツワース)はフルブローグ、そしてBurghley(バーリー)はダブルモンクストラップです。革底仕様。
Shanghai(シャンガイ、シャンハイ、上海)
Shanghai(シャンガイ、シャンハイ、上海)は、キルトタッセルシューズ。履き古したようなヴィンテージ加工が施されている異色の靴です。まあはっきり言いまして数寄者向けの靴なんですけど、キルトタッセルが付いた靴は近年の注目株ですよ。マッケイ製法でイタリア製。
ルームシューズ、スリッパ
Perseus 03(ペルセウス)は、スリッパです。全面レザーのぜいたくなつくり。ルームシューズとして、もしくは旅行時に。
純正のシューツリー(シューキーパー)のSuffolk(サフォーク)
Suffolk(サフォーク)は、純正のシューツリー(シューキーパー)。純正でなければダメとも思いませんが、純正はこれということで。
その他、クリームやらブラシやら靴べらやら、純正のお手入れ用品が各種あります。チャーチを愛している人なら、欲しくなる?
Men's EX(メンズ・イーエックス)の名靴ランキング2008
Men's EX(メンズ・イーエックス)の2008年2月号の「名靴ランキング」において、なんだかんだでチャーチの靴はたくさんランクインしています。さすが。
- 14位: Consul(コンサル)
- 16位: Diplomat(ディプロマット)
- 21位: Fairfield(フェアフィールド)
- 29位: Chetwynd(チェットウインド)
007映画でジェームズ・ボンドも愛用?
チャーチの靴は、長らく007映画に使われていたことで知られています(今はジョン・ロブなのかな)。
意外なところでは、上のSaharaも映画『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』の中でジェームズ・ボンドが履いていたそうです。
映画スターといえば、イタリアの名優マルチェロ・マストロヤンニもチャーチの靴を愛用していたそうな。映画『ああ結婚』の中で、チャーチのフルブローグが登場するとのこと。
他の記事も……
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チャーチが昔に比べると値段が高くなったのは確かなのですが(チャーチに限りませんけど)、独特の朴訥な雰囲気は他の英国靴にはない魅力だと思います。
そうそう、チーニー(Cheaney)はチャーチの弟的ブランドですよ。現在はチャーチから独立しましたが。
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- (2007年6月10日)商品を追加。
- (2007年8月5日)商品を追加。
- (2008年2月15日)商品を大幅に追加。
- (2008年4月17日)商品を追加。
- (2008年7月4日)商品を追加。
- (2008年9月13日)商品を追加。
- (2009年7月23日)商品を追加。
- (2010年5月20日)商品を追加。
- (2011年5月25日)2011年春夏最初の更新。
- (2012年1月31日)2011年度秋冬最初の更新。
- (2012年8月16日)2012年春夏最初の更新。
- (2013年2月18日)2012年度秋冬最初の更新。
- (2013年7月14日)2013年春夏最初の更新。
- (2014年6月9日)2014年春夏最初の更新。
この記事へのコメント
hoh
質問させてください。
この度Church’sのコンサルを購入しようと思っているのですが、
皆様はNIKE、コンバースなどのスニーカー、REDWINGやホワイツなどのブーツなどから上下何サイズがジャストでしょうか?
購入の参考にしたいと考えております。
ちなみに私はスニーカーは27、5センチまたは27センチ、ブーツ類は26、5センチが大体ジャストです。
試着もしに行く予定ですが参考までに是非教えてください。
よろしくお願いします。
blackwatch
私は尋常でなく細い足をしていますので、今のチャーチには私に合う靴はたぶんないのです。ですので、残念ながら私からは適切なアドバイスができません…。
http://blackwatch.seesaa.net/article/16406122.html
ちなみにJavari.jpさんは返品条件がかなり緩いので、通販でも靴が買いやすいですよ。
http://blackwatch.seesaa.net/article/133554207.html