いささか旧聞に属する話題かもしれませんが、今日はノームコア(Normcore)について。
ノーマル(Normal)とハードコア(Hardcore)を組み合わせて作られた新語で、いわば、「筋金入りのふつう」。郊外のショッピングモールで買い物をしたり子供のバスケットボールの試合を観戦したりする時に、ふつうの人がごくふつうに着るような普段着。大衆のなかに完全に溶け込んでしまう、バリバリにふつうな装い。
ブランドが一切表に出てこない、ファッションステイトメントのかけらもない、おそろしいほど普通の服。これがノームコアということらしいです。スタイルアイコンは、たとえば、スティーブ・ジョブズ。
この言葉の初出は、K-Holeという流行予想集団(?)のこの2013年10月の論文のようです。
ウィキペディア(Wikipedia)の “Normcore” の項目によると、典型的なアイテムは以下のようなものとのこと。
Normcore clothes include everyday items of casual wear such as t-shirts, hoodies, short-sleeved shirts, jeans and chino pants, but not items such as neckties or blouses.
(拙訳)ノームコアは以下のような普段着のカジュアルウェアを含む。Tシャツ、スウェットパーカー、半袖シャツ、ジーンズ、チノパンツ。ただしネクタイやブラウスのようなものは含まない。
ノームコアの精神性(?)を突き詰めればいろいろと解釈はできるのでしょうけど、つまるところシンプルなアメカジのようなスタイルと解釈されていることが多いようです。ノームコアの発信地がアメリカなので、「普通」の格好というとアメカジになるのでしょう。
また、ノームコアがアンチ・モード志向なのは確かでしょうけど、トラッド志向でもなさそうです。定番志向ではあるのですが、堅苦しいのはダメっぽい。アウトドアとかスポーツとか、そういう分野の服が中心のようです(K-Holeによると、ミニマリズムともちょっと違うそうな)。
ノームコアの「正しい」定義はともかくとして、2014年時点ではそういう格好が注目されているのは間違いないと思います。モードが復活しているわけでもないのですがトラッド人気も一服していて、スポーティーな着こなしをよく見かけます。以前取り上げたスウェットパンツや白靴下も、ノームコアっぽいアイテムといえるのでは。
もっとも、この手のスポーティーな格好はオジサン層には似合いにくい傾向があるかなと。若い人のほうが似合いやすいでしょう。
結局のところノームコアも、「保守→革新→保守→革新→……」という流行の変遷の一環だと私は理解しています。ただ、百年単位くらいの長ーい目でみると、服は徐々にノームコア化してきたといえるでしょう。カジュアル化し大量生産志向になってきましたから。今後も揺り戻しが何回もあるでしょうが、長ーい目でみてそういう傾向は続くと思います。長ーい目でみた話ですよ。
それでは。
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