
今日は、おなじみビームス(Beams)の中村達也氏の記事より。カジュアルパンツのプレス、つまりアイロンの当て方、特にクリースの入れ方についてです。
近年は着こなしがカジュアル化していますので、堅苦しい着こなしは敬遠されがち。特にここ数年はノームコア(Normcore)だなんだと騒がれていますし。パンツの裾上げの仕方、クリースの入れ方も悩んでしまいます。
まず大前提として、裾の処理をダブルにしたパンツは、基本的にプレスをきっちり入れて穿きます。
ただ、雑誌Free & Easy(フリー&イージー)あたりだと、ダブル裾でクリースなしというパンツも見かける気がします。もっとも、正確にどのような処理をしているのかはよく分からないのですが。
裾をグルグルとロールアップするような穿き方では、クリースは入れずに履いた方が雰囲気がいいと思います。
まあ入れてもそれほど問題ないでしょうが。さて問題は、ロールアップしないときですが――。
太ももの部分はクリースを入れず、膝上あたりから裾にかけてだけクリースを入れます。
こうするのだそう。そして、さらに今っぽくする方法として――。
通常の自分の股下の長さより2.5㎝長く仕上げます。(中略)タタキ上げ幅2.5㎝で仕上げます。そして、膝上から裾までプレスをかける時に最後に2.5㎝折り返してプレスをかけます。

なるほど、擬似ダブル仕上げともいえそうですね。上述のFree & Easyも、もしかするとこの手法なのかもしれません。あえて股下を普通の長さにして短丈にする考え方もあるでしょう。
ちなみにタタキとは、表面に縫い目が見えるカジュアルな裾上げの仕方のことです。ジーンズが典型例(タタキ幅は1cmくらい)。ドレッシーなシングル仕上げの場合は、まつり縫いなので表面に縫い目は見えません。
ここで注目したいのがタタキの幅。2.5cmだと実際に折り返すと幅3cm弱くらいになりそうで、つまりダブル幅3cm弱ということになります。もうちょっと太くしたい人はタタキの幅を太くするのでしょう。
パンツのダブル幅はこの10年くらいは4cmから4.5cmといわれてきましたが、近年多いテーパードがきつめのパンツだともう少し細めが合うように思います。この手のパンツだと太いダブル幅の裾上げは物理的にやりにくいでしょうし。
パンツの裾の処理は意外に着こなしの印象を変えますので、おろそかにはできないんですよね。服に興味のない人はまったく気がつかないだろうとは思いますが……。
それでは。
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この記事へのコメント
ノオウエアマン
裾上げを頼む時のお店の選び方などはありますか?
最近、綿のスラックスを買ったのですが購入した店では何故か裾上げが出来ませんでした。
ネットで検索すると色々と候補が出てくるので、どこにすれば良いのかな…と悩んでおります。
買ったパンツもそれほど良いものではないので単純に値段や近さとかで決めてしまっても良いような気もしますが…
ふと疑問に思ったので裾上げについてのお話しを聞かせていただけたらありがたいです。
よろしくお願いします。
blackwatch
そのパンツの値段次第で、低価格パンツならそのへんのお店で、高級パンツならそれ相応の定評のあるお店で、ということになるのでは。ありきたりの答えで恐縮ですが。
私も縫製などについては詳しくないのであいまいなことしか言えませんが、定評のあるお店(首都圏ならメディアに登場するようなお店)のほうが間違いは少ないように思います。
チノパンツのタタキ仕上げくらいなら、そのへんのお店でも大きな問題はないのでしょう。イギリス製のビスポークパンツとかなら、裾上げといえども慎重に検討したくなります(極端な例ですけど)。
ノオウエアマン
いつもありがとうございます。
私が買ったパンツは5000円ぐらいの既製品なので今回は利便性を重視してお店を選ぼうと思います。
ちなみに仕上がりはジャスト?靴に当たらないぐらいにしようかな…と考えています。
blackwatch
ズボラな人が担当者だと寸法を間違えたり、作業場所が汚いと服にヘンな臭い(タバコとか)が付いたり、運が悪いとこういうこともあります。
良いお店に巡り会うことを祈っております。
ノオウエアマン
たびたび申し訳ございません。
裾の仕上げ方について相談があります。
綿のワンタックのスラックスをジャスト丈で裾直しをする場合におすすめの仕上がり?などはありますか?
販売時の裾は縫い目が見えないように(まつり?)なっておりセンタープレスが入っていたのですがお直しに出す前に洗濯をしたらセンタープレスがほぼ取れました。
これを毎回自分でアイロンをかけるのは面倒なのとセンタープレスなしで穿くのも悪くないな…と思いタタキ?かまつり?どちらでで仕上げるか迷っています。
アイロンがめんどくさい…なんて服を語る資格がないと思いますが、その点も含めてblackwatch様に何かご教授を頂ければありがたいです。
よろしくお願いします。
blackwatch
私なら、カジュアル寄りにするならタタキ、ドレス寄りにするならダブル、にします。センタークリースを入れないのならタタキが無難でしょう。
まつり縫いのいわゆるシングル仕上げは、いまの流行ですとコンサバスタイルにはあまり気分ではない感があります。
以下は6年前の記事ですが、こういう気分はまだ継続しているように思います。コメント欄も参考になります。
https://ameblo.jp/beams-class/entry-12020733843.html
生地がドレス寄りで裾幅が広めのパンツを、長めの丈で裾上げするなら、シングルが合いそうです。今後はこういうパンツも増えてくるでしょう。
ノオウエアマン
返信ありがとうございます。
blackwatch様のアドバイスとリンク先の記事の内容・コメントは非常に勉強になりました。
なんとなくの決まり?はありますが、かと言ってそれに囚われなくても良いのだな…と前向きに捉えました(笑)
購入時の仕様から考えても私が裾直しを考えているパンツはセンタークリースをきちんと入れて穿くドレス寄りのパンツだと思うのですが私は日常的にガンガン着用したいので今回はジャスト丈のタタキにしようと思います。
次回パンツを購入する際は自分の性格も考えた上で選んだ方が良いのかもしれませんね。
それから今後の裾事情として裾幅ワイドのロング丈が来る?とのことですが想像しただけでは見っともない?イメージです。
ちなみに私が今回相談したパンツはワイドテーパード?でジャスト丈に直した位置で裾幅がおよそ19cmです。
裾直しが完了しましたら改めてコメントをするかもしれません。
その時は改めてよろしくお願いします。
それでは失礼します。
blackwatch
10年代(2010年代)は、パンツはかなり裾幅細めで短丈の時代でしたから、これはこれでふつうではなかったのかもしれません。とはいえ、パンツはある程度は流行を取り入れないと、格好良く見せるのが難しいものだとは思います。