
今日は、革靴(靴、シューズ)のお手入れ方法の2回目をお届けします。読んでいない方は、先に1回目の記事を読んでくださいね。《最終更新日: 2009年10月6日》
今日の議題
1回目の記事で、「革靴を履く場合の全般的な注意点」を挙げました。
前回は2.まで書きましたが、今回は以下の3つです。
- 靴を履くときは、必ず「靴べら」を使う
- 1日靴を履いたら、最低丸1日(できれば2、3日)はその靴を休ませる
- 靴を脱いだら、シューツリー(シューキーパー)を入れる
靴を履くときは、必ず「靴べら」を使う
靴べら(シューホーン)を使わずに無理やり靴を履くと、靴のかかとを傷めてしまいます。
そもそも、1回目の記事で書いた「足に合ったサイズの靴を履く」を実践していれば、靴べらを使わないと物理的に靴を履きにくいと思いますよ。
あと、履くときに「爪先トントン」もやめましょう、学生じゃないんだから。やはり靴が傷みます。
靴べらは、まあ何でも良いと思いますが、いちおうご紹介。こちらは、北海道のクラフトメーカーのコサイン(Cosine)、ドイツの生活用品ブランドのレデッカー(Redecker)、日本の皮革製品ブランドのCOBU(コブ)、フィンランドのデザイナーマルック・コソネン(Markku Kosonen)のものです。





外出先等で靴べらがない場合、「名刺」を靴べら代わりに使う「ワザ」もあるみたいです。でも、お客さんの名刺を使うのはやめときましょうね(汗)。

そういうときに備えて、「小さい靴べらを持ち歩く」という手もあります。こちらは、イギリスのブライドルレザーの名門ホワイトハウス・コックス(Whitehouse Cox)の靴べらです。キーホルダー型のものも。
1日靴を履いたら、最低丸1日(できれば2、3日)はその靴を休ませる

革靴にも休息が必要なのです。毎日酷使すると、どうしても靴が傷んでしまいます。臭くもなるでしょうし(汗)。
と言うことは、毎日革靴を履くなら、革靴が「少なくとも2足は必要」ということです。いや、本当は3足は欲しい。靴を大事に履いて長持ちさせれば、3足くらい買っても元は取れますよ(たぶん)。頑張ってそろえましょう。
短期の旅行や出張等の場合は、少々連続装用するのは仕方がないでしょうね。それでも上限は3、4日くらいだと思いますが。それ以上の場合は、換えの靴を用意したいところ。
「休息が必要」は、スーツ等にも言えます。
靴を脱いだら、シューツリー(シューキーパー、シュートゥリー)を入れる
シューツリー(シューキーパー、シュートゥリー)は、「型崩れや靴の反りを防ぐ」「皺を伸ばす」等の役割があります。使うと使わないでは大違いですので、とにかく用意して欲しい…。
私が思う、シューツリーの選び方。
- 素材は、吸湿性の高い木製がいい。
- シューツリーが靴の中でゆるゆるの状態では意味がない。キチンとフィットするものを。
- かと言って、キツすぎてもよくないと思う。靴は横方向には伸びてしまう。
ちなみに私が多く愛用しているのは、マーケン(Marken)のシューツリー。
私の足は甲が尋常でなく薄いので(当然靴もそういう靴を選んでいる)、ふつうのシューツリーでは甲がキツすぎることが多いです。
そういう場合、指定サイズより小さいサイズのシューツリーを使う手があるのですが、それではlength(足長)が足りないときがあるんですね(特に日本製に多い気がする)。
このマーケンのものは小さいサイズでもlengthが十分あるし、比較的甲も小さいので、気に入っています。ただ、lengthが十分ということは「バネが強い」ということなんで、一概に良いとも言えないのでしょうが。
あと、木製にしてはこれ、安いんです(汗)。これ重要。もちろん、人(靴)によってはマーケンでは合わない方もいるでしょう。


さてこだわり派の方は、コロニル(Collonil)やディプロマット(Diplomat)のシューツリーはいかがでしょう。
ジョン・ロブ(John Lobb)やエドワード・グリーン(Edward Green)のような高級靴の純正シューツリーは、たいていこのような木型の形をしていますね。
こちらのシューツリーはニスを塗っていないシダー製なので、吸湿性が高そうな点が好感を持てます(この手のものはニスを塗っているものが多い)。





別記事には、イギリスの名門のチャーチ(Church's)やクロケット&ジョーンズ(Crockett & Jones)の純正シューツリーも紹介していますよ。
もっと安く済ませたいなら、プラスチック製のものでも、まあ良いんじゃないでしょうか(軽いので私も旅行用にはこういうのを使っています)。とにかく、シューツリーを使うようにしてください。
シューツリーは靴の数だけ必要?
シューツリーは、靴の数だけ用意する必要があるのでしょうか? 実は、シューツリーの考え方は、いろいろあるようなのです。
- シューツリーを入れっぱなしにするのは良くない。靴が伸びてしまう。1日くらい入れたら抜いておくべき。
- 入れっぱなしでも問題ない。
私は、適切なサイズのシューツリーならば、入れっぱなしでも問題ないと思っています(つまり2.)。
で、最初の質問の答えですが、「入れっぱなしにしておかなければならない」という意見は少ないようなので、靴の数だけシューツリーを用意する必要はないと思います。まあ、2、3個は用意しておきたいところですが。
ちなみに、靴好きの人はたいてい靴の数だけシューツリーを用意しているみたい。実は私もそう(汗)。
デザートブーツやデッキシューズにシューツリーは必要?

クラークス(Clarks)等のデザートブーツやデッキシューズ(ボートモカシン)に、シューツリーは必要でしょうか?
私は、この手の簡易な革靴にシューツリーは必須ではないと考えています。と言うか、芯のない柔らかい作りのデザートブーツ等にヘタにシューツリーを入れると、革が伸びて型崩れする恐れも…。
シューツリーを使うなら、バネ式でない固定式のシューツリーを使うことをオススメします。
まだ続きます…

靴べらやシューツリーについては、こちらの記事も参考になりますよ。
次回は、こちら。やっとお手入れっぽくなりますな。
関連記事
追記
- (2007年7月3日)内容を若干更新。
- (2009年10月7日)内容を更新。
人気Blogランキングなるものに参加することにしました。ご協力よろしくお願い致します…。

この記事へのコメント
kent
さて、最近チャーチのライダーを購入したのですが、あの靴にシューツリーは必要でしょうか。
また、シューツリーは革の甲の部分もある程度、張るものを選んだほうがよろしいでしょうか。
現在使っているシューツリーは、甲の部分のしわがとれないため、ゆるいのではないかと心配です。
ご返答よろしくお願いいたします。
blackwatch
Church'sのRyderは本格的なドレスシューズですので、シューツリーは必要だと考えます。
http://blackwatch.seesaa.net/article/39506632.html
甲の部分のシワを取るなら、やはりある程度フィット感のあるシューツリーを選ぶべきでしょう。もちろん、キツすぎたら革が伸びてしまいますし、フィットしていても完全にはシワは取れないかもしれませんが。
本当はブーツならブーツ用のシューツリーを使ったほうがフィットするのでしょうが、あまり売っていないですし、チャッカブーツくらいなら普通のシューツリーでよいと思いますよ。
kent
blackwatchさんの言葉はほんとに説得力がありますね笑
ありがとうございました。
blackwatch
シューツリーは靴(の木型)によって合う商品が違うことがありますので、いろいろ試してみてください。
コーサク
チャーチのライダーはドレスシューズですので、シューツリーが必要とのことですが、
スエードのタイプのものにも必要でしょうか?
blackwatch
本格的なつくりのドレスシューズなら、甲革がスエードであれなんであれ(コットンなどでも)、シューツリーが必要と考えます。スエードも皮革の一種なので当然シワは入りますし、シワが入らない特殊な素材であっても少なくとも靴の反りを防ぐ必要はあるでしょう。
なよたけ
シューツリーは必要なのでしょうか?
よろしくお願いします。
blackwatch
私はDannerのDanner Lightを持っているのですが、そういえば今までシューツリーを入れようと考えたことはないですねぇ。あれは裏地が分厚くてスニーカーみたいですし、爪先まで鳩目があって甲のシワも気になりませんし、シューツリーを入れる気にならないのですよ。たぶん、入れている人は少ないような気がします……。
Red Wingのアイリッシュセッターあたりなら、私ならシューツリーを入れます。製法的にも本格靴とあまり変わりませんし。ただ、甲のシワや爪先の反り返りが気にならない(むしろそうしたい)ということでしたら、シューツリーを入れない選択肢もあると思います。