今日は、チノパンツ(チノパン)などのコットン(綿)のパンツ(スラックス、トラウザーズ、ズボン)を取り上げます。《最終更新日: 2017年6月8日》
カジュアルなコットンパンツ、チノパンツ(チノパン)
コットンパンツといっても、カジュアルなものからシックなものまでいろいろありますが、今日はチノパンツを中心とした比較的カジュアル寄りのパンツが中心です。
この手のパンツを選ぶときは、シルエットに注意したいですね。
テーラードジャケットに合わせるような場合は、一般的にはパンツはある程度細めのほうがバランスが取りやすいと思います。逆に、丈の短いアウターやダッフルコートのような重めのアウターに合わせる場合は、どちらかと言うとある程度太さのあるパンツのほうが合わせやすいのでは。まあこのへんは流行次第なのですけど。
プレーンフロント(ノープリーツ)かプリーツ(タック)入りか……
現在は、特にカジュアルに穿くならプレーンフロント(ノープリーツ、ノータック)のパンツが無難でしょう。
ただし、近年は2プリーツ(ツープリーツ、2タック、ツータック)や1プリーツ(ワンプリーツ、1タック、ワンタック)のパンツが復活しています。大人の余裕(?)を醸し出せるはず。
プリーツ入りコットンパンツを穿くなら、80年代風に2つボタンジャケット合わせたり、Gジャン(ジージャン)のような丈の短いブルゾンを合わせてみてはいかが?
- プリーツ入りパンツが戻ってきた、とな?
- Return of the Pleat: Men's Pants Are (Finally) Loosening Up | Details
- How it Should Fit: Pleated Trousers | Articles of Style
- 2プリーツ(ツープリーツ)のチノパンツ(チノパン)は新鮮、とな?
ちなみにプリーツにも種類がありまして、イギリスものに多いインプリーツ(インタック)、英語ではフォワード・プリーツ(forward pleats)、アメリカなどイギリス以外のものに多いアウトプリーツ(アウトタック)、英語ではリバース・プリーツ(reverse pleats)があります。
もっとも、アメトラ(アメリカン・トラッド)なI型ジャケット(サックジャケット)に合わせるなら、やはりプレーンフロントにこだわりたいところです。
クリースを入れるか入れないか、裾上げは?
コットンパンツを穿くときにちょっと悩むのが、クリース(折り目)を入れるか入れないか。ドレス寄り(トラッド寄り)に穿くなら入れる、カジュアル寄りに穿くなら入れない、ということで、まあ好みですなぁ。
ちなみに裾上げ時の裾の仕上げは、クリースを入れるならトラッドにダブルにするのが当ブログのオススメ。ダブル幅はいまなら4cmから4.5cmくらいが一般的ですが、テーパードがきつめのパンツはもうちょっと細くしたほうがよいと思います。
クリースを入れないならシングルにするのが普通なのでしょうが、特にチノクロスのようなカジュアルな生地ならタタキのほうが良いでしょう。
それから、近年人気なのが、ロールアップした着こなしですね。足元を軽く見せてくれます。
今っぽい裾上げ方法やクリースの入れ方について、こちらの記事にまとめています。
コットンパンツの着こなし例
こちらは、ユナイテッドアローズ(United Arrows、UA)の栗野宏文さんのチノパンツの着こなし。
- The Coolest Professor Ever, Paris - The Sartorialist
- Mr. Kurino ~ A 3 Button Roll Over Lapel Madras Blazer W/ Silk Knit Tie, Buttondown Shirt & Chinos | MISTER MORT
人気のマリンスタイルを、ダブルブレストのネイビーブレザー(紺ブレ)とチノパンツで。これは素晴らしい、マネしたいなぁ。
カラーパンツは、アメトラ(アメリカン・トラッド)においても活用できますよ。この人は、アイビー・リーグに属しているコーネル大学の1982年の学生さんみたい。
5ポケットパンツ、ジーンズ(ジーパン)
コットンパンツといえば、5ポケットパンツやジーンズ(ジーパン)を外すわけには参りません……。
素材はデニムだけでなく、コットンツイルやコーデュロイなどキレイめに穿けるものも多いのです。
カーゴパンツ、軍パン
キレイめスタイルをちょっとドレスダウンしたいなら、カーゴパンツや軍パンも候補に入れてください。
デザインが優れているだけでなく、その機能的なポケットもけっこう便利ですよ。
ショーツ(ショートパンツ)、カーゴショーツ
春夏に涼しげに穿けるパンツといえば、なんといってもショーツ(ショートパンツ)やカーゴショーツ。
実はアメトラ(アメリカン・トラッド)やアイビーな着こなしに、このショーツは欠かせないアイテムなのです。
Toys McCoy(トイズ・マッコイ)のスティーブ・マックイーン・トラウザーズ
トイズ・マッコイ(Toys McCoy)は、ザ・リアル・マッコイズ(ザ・リアル・マッコイ、The Real McCoy's)の創始者が独立して創めたさらにこだわりのブランド。ミリタリーウェアやワークウェアを得意とする国内ブランドです。
Steve McQueen Trousers TMP8602(スティーブ・マックイーン・トラウザーズ)は、映画『大脱走』の中でスティーブ・マックイーンが穿いていたパンツを再現したというチノパンツ。
マックイーンが穿いているのは一見なんでもない軍用のチノパンに見えますが、実は特別に細身に修正されたパンツなんだそう。もう、マックィーンったらお洒落なんだから……。実は彼はそれほど身長が高くなかったこともあるのか、服のフィットにはこだわっていたそうですよ。
少しスリムなストレートシルエットといえるでしょうか。裾幅はそれほど細くありません。ボタンフライ仕様には注意してください。日本製。
Dickies(ディッキーズ)の874ワークパンツ
ディッキーズ(Dickies)は、1922年創業のアメリカはテキサス州のワークウェアブランド。アメリカを代表するワークウェアブランドのひとつといえます。
1967年に誕生したワークパンツの874は、代表作でしょう。汚れに強くシワになりにくいポリエステルコットン地を使用し、洗濯しても取れにくいパーマネントクリースが入っています。シルエットはまあ太めとはいえますが、腰周りはけっこう細め。実は、どのサイズでも裾幅はあまり変わらないのです。なので、大きいサイズだとテーパード気味に、小さいサイズだとほとんどテーパードしていないように見えます。
テーラードジャケットあたりとは合わせにくいとは思いますが、着丈短めのブルゾン、あるいは着丈長めのコートとは相性が良いと思いますよ。廉価なワークパンツですから、高級感を期待してはいけません。つくりは小さめですので、少なくとも1サイズは上げるべきでしょう。レングス(股下)の種類はいくつかあります。
近年は874の種類が増えていまして、ストレッチ素材の874、日本企画でスリムなWD874などもあります。
Brooks Brothers(ブルックス・ブラザーズ)
ブルックス・ブラザーズ(Brooks Brothers)を別記事で大きく取り上げていますが、アメトラ(アメリカン・トラッド)の雄のブルックス・ブラザーズにはコンサバなカジュアルパンツがそろっています。
フィットはいろいろありまして、Elliot(エリオット)は2プリーツ、Clark(クラーク)はプレーンフロントでストレートシルエット、Milano(ミラノ)は裾幅が細めで股上が浅めのテーパードシルエットです。チノには薄手のものもあります。
洗い加工や製品染め加工が施されたパンツは、よりカジュアルな雰囲気を楽しめます。カラフルな色展開にも注目してください。
春夏用のパンツとしては、薄手の平織りのポプリン地、それに独特の凹凸が涼しげなシアサッカー、乾いた感触がやはり涼しげなリネン(麻)は大定番生地といえます。
秋冬用のパンツとしては、ウネが特徴のコーデュロイが大定番生地。太ウネはカントリー寄りの雰囲気、細ウネは都会的な雰囲気といえます。
印象的な刺繍柄は、実はプレッピーな着こなしと相性が良いのです。また細かなプリント柄は、着こなしを渋くまとめてくれるでしょう。
カジュアル寄りのラインであるレッド・フリース(Red Fleece)のパンツもありまして、全体的にこれはMilanoよりも腿幅(ワタリ)も裾幅も細く股上も浅い仕上がり。ストレッチが効いているパンツが中心です。迷彩(カモフラージュ)などの遊び心のある柄多し。近年人気のスウェットパンツもあります。
ドレス寄りのコットンパンツをウールパンツの記事に紹介していますので、そちらも併せてご覧ください。
そうそう、セール(クリアランス、Clearance)になっている商品があるかもしれませんので、そちらも見てみてください(別ページにあります)。なおブルックス・ブラザーズ・オンラインショップでは、商品到着後8日以内なら未着用の場合に限り返品・交換が可能です(裾上げしたらダメ)。
Hand Room(ハンド・ルーム)
ハンド・ルーム(Hand Room)は、2016年に誕生した日本のカジュアルウェアブランド。当ブログでも以前取り上げていた往年の名ブランドであるタブロイド・ニュース(Tabloid News)の元デザイナーが立ち上げたブランドなのです。
こちらは、1プリーツが入ったチノパンツ。なんと言っても、トラッドファンなら感涙(?)のクラシックな尾錠(シンチバック)付きなのが特徴です。シルエットは細すぎず太すぎずといったところ。日本製。
Incotex(インコテックス)、GTA(ジー・ティー・アー)
キレイめパンツといえば、イタリアのインコテックス(Incotex)とGTA(ジー・ティー・アー)が現在の代表格でしょう。
キレイめコットンパンツなら、まずはこれらのブランドのものを検討したいところ。近年は、より細身で日本人向きのシルエットのものが多くなってきました。よりカジュアル寄りのインコテックス・スラックス(Incotex Slacks)にも注目してください。
無印良品(Muji)
庶民の味方(?)、無印良品(Muji)。お手頃価格が魅力で、このブログの常連です。
とにかくお手頃価格でパンツを手に入れたいなら、ここを候補に入れるべきでしょう。
他の記事も……
「タグ / パンツ: コットン、リネン」をご覧になると、当ブログのコットンパンツに関する全記事を網羅できます。また、「カテゴリ / パンツ」をご覧になると、当ブログのパンツに関する記事を網羅できます。
どんな着こなしにでも合うパンツは、残念ながらなかなかないものなのです。あきらめて(?)、いろいろな素材・色・シルエットのパンツをそろえましょう……。
なお当ブログについては、当ブログの目次も参考にしてください。
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追記
- (2005年10月18日)大幅に商品を追加。
- (2005年11月30日)商品を追加。
- (2006年1月18日)商品を追加、入れ替え。
- (2006年2月20日)商品を追加。
- (2006年3月19日)商品を追加。
- (2006年4月22日)商品を追加、入れ替え。
- (2006年6月12日)商品を追加。
- (2006年7月10日)商品を追加、入れ替え。
- (2006年8月26日)商品を追加、入れ替え。
- (2006年12月26日)商品を追加、入れ替え。
- (2007年3月5日)商品を追加、入れ替え。
- (2007年6月28日)商品を追加、入れ替え。
- (2008年5月13日)2008年春夏最初の更新。
- (2009年6月23日)2009年春夏最初の更新。
- (2009年11月4日)2009年度秋冬最初の更新。
- (2010年6月7日)2010年春夏最初の更新。
- (2011年6月1日)2011年春夏最初の更新。
- (2011年12月13日)2011年度秋冬最初の更新。
- (2012年6月18日)2012年春夏最初の更新。
- (2012年12月22日)2012年度秋冬最初の更新。
- (2013年6月11日)2013年春夏最初の更新。
- (2013年12月16日)2013年度秋冬最初の更新。
- (2014年5月20日)2014年春夏最初の更新。
- (2014年12月26日)2014年度秋冬最初の更新。
- (2015年6月19日)2015年春夏最初の更新。
- (2015年12月11日)2015年度秋冬最初の更新。
- (2016年5月25日)2016年春夏最初の更新。
- (2017年1月5日)2016年度秋冬最初の更新。
- (2017年6月8日)2017年春夏最初の更新。
この記事へのコメント
yamatosi-1
blackwatch
モールスキンは、暖かみのあるいい生地ですよね。ただ残念ながら、特別にモールスキンに特化した記事を書く予定は今のところございません。お役に立てなくて、申し訳ありません。
いつか何かのパンツ関連の記事を書いたときに、モールスキンのパンツを取り上げるかもしれません。恐れ入りますが、そのときまでお待ちください…。
コーサク
質問させてください。
インコやGTA、またバリーブリッケンなどのチノパンはカジュアルに合わせてもおかしくないでしょうか?
あと、もう一つ。
blackwatchさんの考える、カジュアル/ドレス兼用でき、最高におすすめのチノパンがあれば教えてください。
主観で結構です。
blackwatch
コーサクの考えるカジュアルの定義がよく分からないのですが、ジャケパン(ジャケット+パンツ)といったドレス寄りのスタイルはもちろん、ポロシャツやバスクシャツといった格好でもそれらのチノパンツはたいていよく合うと思います。
ただし、グラフィックTシャツのようなストリート寄りのカジュアルだと、それらのチノパンツは合わせにくいでしょう。
最高にオススメのチノパンツですが、私の体型は特殊ということもあり、たぶん私の意見は当てにならないと思います(といいますか、こういうのは安易な質問かなと)。コーサクさん自身に最高に合うパンツをご自身で見つけてください。
ふくらはぎ
前にも聞いたかもしれませんが、再度質問させて下さい。裾丈の話です。
フォーマルに限った話かもしれないけど、
最近はクッションさせない裾丈が好まれる傾向にあるそうですね。
だぶついた裾がルージーに見られるとか。
タックやラインを綺麗に見せるという意味で賛成ですが、
管理人さんにこだわりがあれば聞かせて下さい。
表面積の大きい下半身、特にパンツは特に重要です。
着こなしもパンツから考えるとバランスがとりやすいですしね。
あと、ダブルの幅、4cm以上はテーパーがきついパンツだと厳しいですよ。
ここで、裾丈の話にも絡んでくる部分でもあるのですが。
blackwatch
パンツのシルエットとか裾丈とかは、流行に大きく左右されます。ビジネススーツなら過剰に流行を取り込む必要はないので、無難なのはまあハーフクッションあたりでしょう。もちろん、裾幅などで微調整は必要ですが。どれだけ流行を反映させるかは当人の考え方次第です。
カジュアルスタイルなら、まあこれも当人の考え方次第ですが、割り切って流行をある程度取り入れたほうが着こなしやすいのは確かです。
もちろん、「オレは一生このスタイル」というのが決まっている人なら迷わないのでしょうが、強い意志が必要です。
ちなみに私の場合は痩せているということもあり、カジュアルスタイル時にはスリムストレートの5ポケットばかり。最近はそれをロールアップして穿いています。
それから、極端なテーパードパンツが人気だった80年代には、ダブル幅は3cm前後くらいが主流だったようです。1980年の『オフィシャル・プレッピー・ハンドブック』によると、ダブル幅は1 1/4インチ(3.18cm)。4cmと言われるようになったのは、90年代後半以降だと思います。
http://blackwatch.seesaa.net/article/244701466.html
U8
今でもデニム・カーゴパンツ・オックスフォードシャツ3枚・シャンブレーシャツ2枚現役で活躍してくれていますよ。シンプルで作りの良い洋服は本当に大好きでした。このブログを読んでいなければ知っていなかったかもしれません。ありがとうございます。
HAND ROOMの存在は知っていましたが、どうでしょう。実店舗に試着しに行ってみようかなぁ…
タブロイド・ニュースが出てきて思わず書き込んじゃいました。独り言ですみません。これからも記事楽しみにしています。
blackwatch
タブロイド・ニュース、私もジャケットやらセーターやらを持っていましたよ。もともとトラッド好きだった人が流行を分かりやすく取り入れたらどうなるか、そんな感じのブランドだったように記憶しています。
今のHand Roomの路線のほうが、服好きに受けそうな「こだわり」をより感じさせるように思います。「一般受け」は狙っていないのでしょうね。