
今日は、チャッカブーツ(チャッカーブーツ)を取り上げます。表革(スムースレザー)もスエード(スウェード)も……。《最終更新日: 2013年3月16日》
チャッカブーツとは(チャッカーブーツとは)
チャッカブーツは、プレーントウ(プレーントゥ)をハイカットにしたようなデザインのブーツのこと。最もシンプルで基本的な構造のブーツといえます。
キレイめブーツのライバル(?)としてはサイドゴアブーツ(チェルシーブーツ)やジョッパーブーツ(ジョドパーブーツ)などもありますが、一番着こなしの幅が広いのはチャッカだと思います。アメトラ(アメリカン・トラッド)と相性が一番良いのも、コレ。
チャッカブーツの分類と着こなし(履きこなし)
大雑把に言って、3アイレット(鳩目)で細身でコバが張っていないものはブリティッシュ風、2アイレットで丸っこくてコバが張っているものはアメリカ風といってよいのかな。まあ、いろいろありますけど。3アイレットで丈が長めで端正なデザインのものは、ジョージブーツとも呼ぶそうな。
着こなし(履きこなし)については、プレーントウをよりカジュアルにした靴と考えてよさそう。表革(スムースレザー)で濃い色目のものなら、ビジネススーツにも合わなくはないでしょう。カジュアルスタイルなら、特に秋冬にはかなり万能に使えますよ(使えない着こなしが特に思い付かないくらい)。
具体的な着こなし例をいくつか。フランネルウール調のグレースーツには、スエードの靴がよく合いますね。すごくすてきな着こなしですが、職種は選ぶかな。
こちらは、ネイビージャケットにデニムパンツを合わせた着こなし。やはりスエードのチャッカを合わせています。

こちらは、映画『ブリット』におけるスティーブ・マックィーン(スティーヴ・マックィーン)の有名な着こなし。この靴は、マッドガード(Mud Guard)という特殊な靴なのです。
Brooks Brothers(ブルックス・ブラザーズ)

ブルックス・ブラザーズ(Brooks Brothers)を別記事で大きく取り上げていますが、アメトラ(アメリカン・トラッド)の雄のブルックス・ブラザーズでは靴も扱っています。
ブルックス・ブラザーズが、アメリカの名門アレン・エドモンズ(Allen Edmonds)に別注しています。「プレーントゥ チャッカーブーツ」はDundee(ダンディー)が基になっているのでしょう。
別注点は主に靴底でして、革底の上にブルックスのネクタイでおなじみのBB#10のストライプ柄のラバーが補強されていて、かかとも革底(ダブテイル)仕様になっています。素材はカーフ。製法はグッドイヤーウェルトで、もちろんアメリカ製。






「スエード チャッカーブーツ」は、スエード地のチャッカブーツ。とてもアメトラな雰囲気ですが、ストームウェルトが付いていないのですっきりしています。裏地のないアンラインド仕様で、柔らかな履き心地を楽しめます。
グッドイヤーウェルト製法でアメリカ製。たぶんオールデン(Alden)製じゃないかなぁ。靴底はおそらくオイルドレザーソールで、レザーソールのわりには雨に強いはず。
George Cox(ジョージ・コックス)のマッドガード

ジョージ・コックス(George Cox)は、1906年創業のイギリスの靴ブランド。厚底の「ロック」な靴で有名なのですが、キレイめの靴もつくっているんです。近年一回倒産してしまったそうですが、なんとか復活しました。
こちらは、いわゆるマッドガード仕様の靴。クレープソールの周囲にゴムを貼り付けた独特のつくりの靴です。甲革(アッパー)はスエードで、スティーブ・マックィーン(スティーヴ・マックィーン)になりたければやはりこの靴は無視できないでしょう。





MoonStar Fine Vulcanized(ムーンスター・ファイン・バルカナイズ)のSloth
ムーンスター(MoonStar)は、1873年創業の日本の老舗靴メーカー(旧・月星化成)。ムーンスター・ファイン・バルカナイズ(MoonStar Fine Vulcanized)は、アッパーとソールを圧着する昔ながらのバルカナイズ(バルカナイズド、ヴァルカナイズ、ヴァルカナイズド、加硫釜)製法を使用して福岡県久留米市で製造しているこだわりのスニーカーブランドです。
Slothは、各方面で話題になっているチャッカブーツ型のスニーカー。スティーブ・マックイーンがよく履いていたマッドガード仕様のブーツのスニーカー版といった雰囲気で、トラッドな着こなしによく合うでしょう。アッパーはキャンバス。







TOMODAのパーソナルオーダー(宮城興業)

どうしても既成靴では足が合わない方や、気に入った色のものがない方は、靴屋TOMODAのパーソナルオーダーシステム、誂え靴「友郎(Tomorow)」はいかがでしょう。lengthもwidthも選べる、本格的なパターンオーダーです。
ES-21(「隆」)は、端正なブリティッシュ風チャッカです。宮城興業がつくっています。
Church's(チャーチ)のRyder(ライダー)、Sahara(サハラ)

英国、いや世界を代表する既製靴ブランドといってもよさそうなチャーチ(Church's)は、1873年創業のイギリスの老舗靴ブランド。
スエードチャッカのRyder(ライダー)は、チャーチの名作中の名作。ジェームズ・ボンドも履いたデザートブーツっぽいSahara(サハラ)もあります。
Crockett & Jones(Crockett and Jones、クロケット&ジョーンズ、クロケット・アンド・ジョーンズ)

実用靴の最高峰ブランドといえるクロケット&ジョーンズ(クロケット・アンド・ジョーンズ、Crockett & Jones、Crockett and Jones)は、1879年創業のイギリスの靴ブランド。
Chertsey(チャートシー)は、定番のチャッカブーツ。スエード地で革底仕様、まさにこの手の靴の鑑といえるでしょう。そのほかにもチャッカはいろいろありますよ。
Cheaney(チーニー)

2009年についにチャーチから独立したチーニー(Cheaney)は、1886年創業のイギリスの靴ブランド。チャーチの創業家(今はチャーチから離れている)の人が買い取ったのだそうな。
オススメは、クラシックな木型125のチャッカブーツですね。甲革や靴底の種類はいろいろあります。
Loake(ローク)

英国王室御用達(ロイヤルワラント)でありながらモッズな人たちにも愛されたローク(Loake)は、1880年創業のイギリスはノーザンプトンの老舗靴ブランド。
Pimlico(ピムリコ)は、スエード地のチャッカブーツ。セミスクエアトウのドレッシーなチャッカですが、ダイナイトソール仕様なので悪天候時にも使いやすいのです。
Tricker's(トリッカーズ)

英国王室御用達(ロイヤルワラント)ブランドでもあるトリッカーズ(Tricker's)は、1829年創業のイギリスの靴ブランド。
Winston(ウィンストン、M7468)は、ちょっとアメリカ的な雰囲気のチャッカブーツ。BEYES(バイズ)さんの別注で爪先にメダリオンが入りました。粋な雰囲気のチャッカといえます。
Clarks(クラークス)のデザートブーツ

今のカジュアルシューズを代表するブランドかもしれないクラークス(Clarks)は、1825年創業のイギリスの靴ブランド。
大定番のデザートブーツ(Desert Boot)は、世界販売の累計が1,200万足を突破したんだそうな。流行に左右されない永遠の定番靴です。
Walk-Over(ウォークオーバー)

ホワイトバックスやダーティーバックスの代名詞的なブランドであるウォークオーバー(Walk-Over)は、1758年創業のアメリカの靴ブランド。一時期はブランドが消滅状態にありましたが、このたび見事復活を果たしました。
ホワイトバックスやダーティーバックスといえば、昔からチャッカブーツ型の定番的につくっていました。私もこのブランドのものを昔履いていましたよ。復活後は木型がちょっと丸いのが特徴。
Alden(オールデン)

日本で最も人気のあるアメリカのドレスシューズブランドであろうオールデン(Alden)は、1884年創業のアメリカの靴ブランド。
オールデンの名作はたくさんありますが、チャッカブーツもすこぶる人気が高いです。お得意のシェル・コードヴァンを使用したチャッカは、死ぬまでに一回は履いておきたい?
Zeha(ツェハ)

一時期ブランドを停止していましたが近年復活したツェハ(Zeha)は、1897年にドイツ(旧東ドイツ)はチューリンゲンで設立されたスポーツシューズブランド。
日本向けの商品は日本人の人がデザインしているようで、洒落た靴が多いと思います。チャッカブーツ型のスニーカーもありますよ。
Jalan Sriwijaya(ジャラン・スリウァヤ、スリワヤ、スリウィジャーヤ)

ハンドソーンウェルト(ウェルテッド)製法とグッドイヤーウェルト製法を交ぜた製法を採用しているジャラン・スリウァヤ(Jalan Sriwijaya)は、もともとは1919年創業のインドネシアの靴工場だったそう。2003年に「ジャラン・スリウァヤ」ブランドが誕生しました。
この製法特有の履き心地が柔らさが、すこぶる好評です。見た目も端正で、これだけの靴がこの値段なのはインドネシアの人件費が安いからできる芸当なのでしょう。チャッカブーツもあります。
Hiroshi Tsubouchi(ヒロシ・ツボウチ)

坪内浩氏がデザインするヒロシ・ツボウチ(Hiroshi Tsubouchi)は、2008年に誕生した靴ブランド。流行をセンス良く料理した靴をつくっています。
トラッドですが遊び心のある仕上がりの靴が多く、いま注目の靴ブランドのひとつといえます。チャッカブーツもあります。
Spingle Move(スピングル・ムーヴ、スピングル・ムーブ)

バルカナイズ製法のスニーカーをマジメにつくり続けるスピングル・ムーヴ(スピングル・ムーブ、Spingle Move)は、広島県府中市(備後、びんご)に工場を持つ日本のスニーカーブランド。
スニーカーのつくりのチャッカブーツもつくっていまして、ビジネスにも使えそうな落ち着いた仕上がりです。
ブリックソールのホワイトバックス、ダーティーバックス

ブリックソール仕様のホワイトバックスやダーティーバックスは、往年のアメトラには欠かせなかったカジュアル靴。赤いソールが堪りません……。いま再び新鮮です。
ブリックソールの靴の基本型といえばプレーントウ型ですが、その次くらいにチャッカブーツ型もよくつくられているように思います。
ポストマンブーツ

郵便配達人が履いている靴であるポストマンシューズにはチャッカブーツ型もありまして、それがポストマンブーツ。かかと部分も含め靴底が平らなフラットソール仕様のゴム底(ラバーソール)になっている点が大きな特徴です。
仕事靴なのでマジメな印象なのですが、カジュアル感もある面白いバランスの靴といえます。
他の記事も……


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追記
- (2006年1月12日)商品を追加、入れ替え。
- (2006年8月13日)商品を追加、入れ替え。
- (2007年1月22日)商品を追加、入れ替え。
- (2008年1月20日)商品を追加、入れ替え。
- (2009年8月28日)商品を追加、入れ替え。
- (2010年2月7日)2009年度秋冬最初の更新。
- (2010年2月26日)2010年度秋冬最初の更新。
- (2013年3月16日)2013年春夏最初の更新。
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この記事へのコメント
links_77
チャッカーブーツですが、トリッカーズのブラックカーフとチャーチのライダーを所有しております。ロイドにチャッカー用のシューキーパーがあるようですので購入を検討中です。
blackwatch
お、さすがにいい靴をお持ちですね。
私は最近スリッポンシューズばかり買っていて(汗)、冬用の靴が不足気味です。私のサイズの靴はなかなかないのが悩みどころ…。
ロイドといえば、ちょっとした思い出(?)がありまして…。いつか機会があれば、書きたいと思います。
マーク
飽きが来ない、オーソドックスな一文字とかに。
今日は、サイドゴアブーツを新宿の伊勢丹の男の新館地下1階でゲット。
いろいろ試着して、黒のサイドゴアで英国のアルフレッド・サージェントが良かった、値段も、オーウェンというシリーズです、形も良く。
ファッションは、パパス、ラルフ、ブルックス、ファッソナブル、ユニクロの組み合わせを楽しんでます。
ハットにぞっこん。ボルサリーノ、ジェームス・ロック、マイゼル、伊勢丹オリジナルのイタリア布地のトラベル・ハット、全て濃紺です。
革製品は、バレクストラが好きでミラノで買って、使っております。絶品ですね。
アルフレッド・サージェントのオーウェン、なかなか良いですよ。
blackwatch
アメリカ系の服にラテン系のアクセサリーをお合わせになるのがお好きのようですね。
バレクストラは、象革の鞄が気になります(高いですけど)。マンニーナは安くオーダーできるみたいなので、機会があれば(あるかな?)一回試してみたい気もします。
サージェントのオーウェンについては寡聞にして存じ上げませんが、きっといい靴なのでしょうね。
(重複していたコメントは削除させていただきました)
コーサク
質問させてください。
C&Jの『チャートシー』かチャーチの『ライダー』で迷ってるのですが、blackwatchさんの
個人的な意見で構わないのでどっちがオススメか教えてもらえますか?
blackwatch
オススメではない商品を当ブログでは紹介していませんので、どちらがオススメかと訊かれても困ってしまいます。
まったく似たような靴ならともかく、ChertseyとRyderではそもそも靴底の仕様が違うじゃないですか(Chertseyのほうが革底なのでドレス寄り)。用途と好みで選んでくださいとしか言いようがありません……。
つっちー
アイビーのような格好に合わせるチャッカは、やはり鳩目2個でしょうか。
足に合うものがあったのですが3個だったため妥協するか否か迷っており、ご意見を参考にさせていただきたくお伺いしました。
また、もしよろしければサイドエラスティックの合わせ方についてもお教えいただけないでしょうか。
blackwatch
確かにいわゆるジョージブーツのような端正なデザインのものはアイビー系の格好にはイマイチ合わせにくいものです。ただ、鳩目3組でもそこまで端正でないものもありますし、逆に鳩目2組でもすごく端正なものもあるでしょう。
鳩目の数はあくまで目安でして、最終的には靴全体の雰囲気で決めるべきと考えます。
サイドエラスティックもデザインがいろいろありまして、スーツ専用と思われるような端正なものから、比較的カジュアルに合わせられそうなものまであります。
George Cleverleyのようなサイドエラスティックは(特に黒なら)基本的にはスーツ用かなと。アメトラに合わせるなら、50年代・60年代風の着こなしに合うでしょう。80年代風プレッピーとかには合わせにくいと思います。
つっちー
ご返信ありがとうございます。
確かにそもそも全体の雰囲気を見て判断すべきでしたね。
あまりコバも張っていないものでしたので、英国方面の用途で考えてみようと思います。
エラスティックの方は50、60年代ということはまさにTAKE IVYの時代ですよね。
そこに合うというのはなんとなく意外でした。
blackwatch
George Cleverleyのようなクラシックなサイドエラスティック靴だと、学生っぽい格好には合わないでしょう。アメトラならCaidやBatakでオーダーしたような大人っぽいスーツがよいかと(つまり既製服だと合うスーツがイマイチ少ないかも)。人によってはそれでも合わないと判断する人もいるでしょうが、私はそこそこ合うように考えています。ただ、チゼルトウだとアメトラには難しいでしょう。
もうちょっとカジュアルな雰囲気のサイドエラスティック靴なら、そこまでのクラシックさは求められないでしょう。私自身にも明確な基準はないので、漠然とした表現で申し訳ないですが。
どちらかというとセンターエラスティック靴のほうがカジュアルな印象のものが多く、アメトラにも合わせやすいと考えます。それでも学生らしくない雰囲気のスーツのほうが合いやすいかな。私はプレーントウ型のセンターエラスティック靴を持っていまして、Batakのアメトラスーツに合わせたことがあります。