
今日は、オールデン(Alden)の革靴(靴、シューズ)、ブーツを取り上げます。《最終更新日: 2017年1月28日》
Alden(オールデン)
オールデンは、1884年創業のアメリカの靴ブランド。アメトラ(アメリカン・トラッド)らしい靴ばかりを頑固につくり続けていて、しかもアメリカ製のドレス靴ブランドは、もしかして今はここだけかも。ライバル(?)のAllen Edmonds(アレン・エドモンズ)は、良くも悪くもさまざまなデザインの靴をつくっているからなぁ。
オールデンの靴は、ドレスシューズは基本的にすべて堅牢なグッドイヤーウェルト製法でつくられています(一部のモカシン靴はマッケイ製法)。
こちらは、マサチューセッツ州にあるオールデンの工場の様子です。
そうそう、1981年の映画『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』にてハリソン・フォードが履いていたIndy Boot(インディー・ブーツ)も有名ですね。私もいつか手に入れたい靴であります……。
Genuine Shell Cordovan(シェル・コードバン、シェル・コードヴァン)、お手入れはどうする?
オールデンといえば、やはりシェル・コードバン(シェル・コードヴァン)でつくられた靴が一番人気でしょう。ホーウィン(Horween)社製のものを使っているのですが、オールデンのものは特に質が高いといううわさ(?)。
シェル・コードバンとは、馬、それもムチでよくたたかれた農作業用の馬のお尻の革のこと。ビガッとした独特な鈍い輝きは、他の革にはない魅力があります。アメトラやアメカジ好きの人には堪りません……(そのぶん、アメトラやアメカジの嫌いな人はあまり魅力を感じないかも)。
高価な革ですが、実はドレス度はそれほど高くないというか、フォーマルという感じの革ではないと思います。ヨーロッパブランドではあまり採用されない革ですし。もちろん、アメトラ寄りのスーツスタイルならバッチリ合いますよ。
一番大きな弱点は、雨に弱いことでしょうか。水による染みができやすいのがその理由でしょうが、染みさえ気にしなければ雨に強い革といえるのかも。

お手入れ方法については、普通の牛革とはちょっと変えたほうがよいと考えます。ただその方法については諸説紛紛していまして、絶対コレというのはないですね。
コードバンの靴は、きれいなシワを入れたいものです。でもまあ、自然が一番という考え方もあります。
木型(ラスト)いろいろ
オールデンといえば、キャラの立った(?)いろいろな木型(ラスト)でも知られています。
- Barrie Last(バリー・ラスト)
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どっしり、ポッテリとした最もアメリカ靴らしい木型。プレーントウ、チャッカブーツ、等々。
- Modified Last(モディファイド・ラスト)
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足の不自由な人のために開発された木型で、独特の形状。土踏まずが気持ち良い。実は、アメリカの店頭ではこの木型の靴はあまり扱われていないそうな。Vチップ、等々。
- Military Last 379X(ミリタリー・ラスト)
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その名のとおり、もともとは軍用靴用の木型。爪先が丸く、これも歩きやすさで定評あり。
- Van Last(ヴァン・ラスト、バン・ラスト)
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ペニーローファーによく使われている木型。ローファー用ということで、ショートノーズなのが特徴。
- Aberdeen Last(アバディーン・ラスト)
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英国靴のような細身の木型。日本ではこの木型の靴はあまり扱われていないが、アメリカでは多く扱われている。私も愛用しているタッセルローファー、等々。
- Laydon Last(レイドン・ラスト)
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Barrie LastとModified Lastの中間の木型とのこと。クセのないModified Lastというところか。
他にも新しい木型が開発されているようですが、とりあえずはこんなもんでしょう。靴の木型について気が回るようになったら、本格靴初心者を卒業したといえるかな。
木型ごとのマイサイズを把握すれば、ネットで靴を買うときも安心です。もっとも、把握するまでがけっこう大変なんですけどね。

Vチップ、Uチップ

次は、比較的カジュアルに履きこなしやすいUチップやVチップの靴。
Modified Lastの通称Vチップも、オールデンの人気モデルのひとつ。個人的にはスーツにも合わせやすいUチップと考えています。
こちらは、スエード地のVチップ。オイルに浸してあって水に強く返りの良いウォーターロックソール仕様で、さらにやはり柔らかく返りの良いフレックスインソールを内蔵しています。要するに履き心地が柔らかいのです。ジャケットリクワイヤード(Jacket Required)さんの別注商品。
なんとも珍しいグリーン(緑色)のスエード地に加え、着こなしに合わせやすそうなスナッフスエードも出ました。スナッフスエードのほうは鳩目が露出している外鳩目仕様で、靴ヒモもカジュアル寄りのものが付いています。





チャッカブーツ(チャッカーブーツ)

履きこなしやすいブーツであるチャッカブーツ(チャッカーブーツ)も、オールデンが得意としているデザインです。
こちらは、アメリカの名門ホーウィン(Horween)社の名作オイルドレザー(オイルレザー)であるクロムエクセル(Chromexcel)を使用したチャッカブーツ。靴底にはウォーターロックソールを採用し、まさに水に強いブーツといえます。
木型はLaydon Lastで、色展開にも注目してください。裏地のないアンラインド仕様で、柔らかな履き心地を楽しめます。ジャケットリクワイヤードさんの別注商品。
ブーツ

次は、カジュアル用に一足は欲しいブーツ。
こちらは、プレーントウ型のレースアップブーツ(編み上げブーツ)。丸みを帯びたMilitary Last 379Xを採用しています。甲革はスエード。生クレープソールに爪先のみ革底を付けたいわゆるプランテーションソール仕様で、これは絨毯(カーペット)を傷付けない(あるいは絨毯の上でも歩きやすい)意味があるようです。
ジャケットリクワイヤード(Jacket Required)の別注で、ネイビースエード地のものも出ました。近年はネイビーの靴が珍しくなくなりましたが、よりトラッド感があるのはスエード地のものだと思います。






こちらはMilitary Last 379Xを採用したUチップブーツで、通称タンカーブーツ。迫力のある雰囲気が魅力です。甲革はChromexcelでプランテーションソール仕様。
Michigan Boot(ミシガン・ブーツ)は、モカシン型のブーツ。Ranger Moc(レンジャー・モック)というモデルのブーツ版といえます。木型にはローファーとよく使用されるVan Lastを採用。ショートノーズで爪先が高いのが特徴です。
実はこれ、70年代(1970年代)のチャッカブーツ以来、約40年ぶりの新作なのだそうな(ラコタさんがいうなら本当なのでしょう)。
甲革には、名門ホーウィン社のUtica(ユティカ)という油分の多い皮革を使用。水に強く、見た目もラギッドな雰囲気がありますね。靴底にはやはり水に強いウォーターロックソールを使用(ダブルソール)。






こちらは、ストレートチップ(キャップトウ)型のレースアップブーツ。オールデン特有のモディファイドラストを採用していて、比較的華奢な仕上がりといえます。甲革には細かな型押しのAlpine Grain CalfSkin(アルパイン・グレイン・カーフ)を採用していて、これは傷が目立ちにくい特徴も。プランテーションソール仕様。
こちらは、モディファイドラストを採用したプレーントウ型のレースアップブーツ。甲革にはReversed Chamoisというオイルドスエード(オイルスエード)、靴底にはウォーターロックソールを採用。いずれもオイルに浸してあって水に強いのが特徴です。ジャケットリクワイヤードさんの別注商品。
ちなみに、オイルドスエードにはオイルレザー用のスプレーを使って手入れするのが良さそうです。もっとも普段はブラッシングだけで十分で、基本的に手間要らずのラギッドな素材のはず。





Brooks Brothers(ブルックス・ブラザーズ)の別注商品

ブルックス・ブラザーズ(Brooks Brothers)を別記事で大きく取り上げていますが、アメトラ(アメリカン・トラッド)の雄のブルックス・ブラザーズでは靴も扱っています。オールデンにも別注しているのです。
「カーフ タッセルローファー」は、その名のとおりカーフ素材のタッセルローファー。オールデンの定番タッセルと比べるとかかとにステッチが入っている点が大きな違いです。木型はAberdeen Lastで革底仕様。アメリカ製。
「スエード ストレートチップ ブルーチャー」は、スエード地の外羽根式ストレートチップ。意外にそれほど見かけない意匠の靴だと思いますが、ブルックスでは定番的に展開している靴なのです。木型はなんだろう。革底仕様でもちろんアメリカ製。
「スエード チャッカーブーツ」は、スエード地のチャッカブーツ。とてもアメトラな雰囲気ですが、ストームウェルトが付いていないのですっきりしています。裏地のないアンラインド仕様で、柔らかな履き心地を楽しめます。
その他
その他のオールデンの靴は、こちら。中古品(ユーズド)やオークションのものも人気です。
他の記事も……


ローファーやスリッポンを集めた記事、それにプレーントウを集めた記事がありますので、まずはそちらをご覧ください。「カテゴリ / 靴」をご覧になると、当ブログの靴に関する記事を網羅できます。
オールデンについては、この記事でも少し触れています。
なお当ブログについては、当ブログの目次も参考にしてください。
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追記
- (2009年6月13日)記事を全面的に書き換え。
- (2011年9月24日)2011年度秋冬最初の更新。
- (2017年1月28日)2016年度秋冬最初の更新。
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