今日は、フレアパンツ(ベルボトム)について考えます。私の得意分野(?)ではありませんが……。
フレアパンツとは
フレアパンツとは、裾が広がったパンツのこと。テーパードパンツとは正反対の性質のパンツといえます。
腰周りや腿周りはどちらかというと細めのものが特に男性用は多く、基本的にプリーツは入っていません(フラットフロント)。太めのフレアパンツの中には、プリーツが入っているものもあるにはあるようです。
「ベルボトム」はフレアパンツと同義のようですが、裾が大きく広がったパンツをベルボトム、裾の広がりが控えめのパンツをブーツカットと分類する考え方もあります。
フレアパンツの歴史
フレアパンツの古い例としては、まずはイギリスやアメリカの水兵の制服が挙げられます。採用した理由については、裾まくりをしやすいように、あるいは水中で脱ぎやすいように、などの説があるようです。ヨーロッパの歴史的な技術労働者であるジャーニーマンも履いていたそうな。
- Steve McQueen's Navy Uniforms in The Sand Pebbles » BAMF Style
- The Last Detail: Jack Nicholson's Navy Crackerjack Uniform and Pea Coat » BAMF Style
ファッションとしては60年代(1960年代)後半くらいから取り入れられ始め、ヒッピーやロックスターのような人は特に積極的に着用しました。
70年代(1970年代)に入ると一般層にも広がり、ロジャー・ムーア扮するジェームズ・ボンドもフレアパンツのスーツを着用していました。
- The Light Brown Silk Suit in The Spy Who Loved Me – Bond Suits
- The Spy Who Loved Me: Roger Moore's Double-Breasted Dinner Jacket » BAMF Style
ディスコでフィーバーしている人が穿いていたのも、たいていフレアパンツでしたね。
ちなみに、お洒落には縁がなかった私の亡父の遺品の喪服のスーツにも、フレアパンツのものがありました。おそらく70年代に購入したもので、当時はそれくらい普及していたということです。
しかし、80年代(1980年代)にはすっかり下火に(代わりにテーパードパンツが全盛に)。90年代(1990年代)には復活傾向になり、00年代(2000年代)に再び全盛期を迎えます。しかしまた、10年代(2010年代)には下火に、20年代(2020年代)に復活しつつある、……とまあこんな感じの歴史があります。
着こなし方
フレアパンツの全盛時代であった70年代と00年代を思い起こすと、上半身のフィットはどちらかというと細め、ジャケットやシャツの襟は大きめ、肩幅は肩にぴったり合わせる、というバランスの着こなしと相性が良いのでしょう。テーパードパンツの着こなしとは考え方を変えたほうが無難です。
- 1970s Men's Fashion: Disco, Soul, Hippie - Vintage Dancer
- 60s - 70s Mens Bell Bottom Jeans, Flares, Disco Pants - Vintage Dancer
裾幅が広いということは、パンツ丈は長めが基本(裾幅と丈は比例するのが基本)。裾の処理をダブルカフにすることは稀です。ロールアップも似合わないでしょう。
また裾幅が広いということは、靴はロングノーズ寄りのものが合わせやすいはず(裾幅と靴の長さは比例するのが基本)……なのですが、70年代にはショートノーズの靴も多かったようです。そうそう、当然ブーツとは好相性。
もっとも、トラッドやクラシックなスタイルにおいて、フレアパンツは歓迎されているとは言いがたいのが正直なところ。欧米の老舗テーラーにおいて、ハウススタイルがフレアパンツというお店はほとんどないでしょう。ジェームズ・ボンドファンの間でも、フレアパンツは不評のようです。
トラッドな着こなし例として、1970年の映画『ある愛の詩』を挙げておきます。フライトジャケットとブーツカットジーンズの着こなし。ボタンダウンシャツとシェットランドウールセーターがトラッドなのです。
トラッドやクラシックな着こなしにおいては、流行の強力な後押しがないと活用しにくいパンツといえます。
Levi's(リーバイス)のブーツカット517
リーバイス(Levi's)によるブーツカットの名作ジーンズである517は、最も無難に穿きこなしやすいフレアパンツのひとつといえます。裾の広がりが控えめなブーツカットで、入手もしやすいはず。
ちなみに1990年前後の渋カジ時代には、ダブルブレストのブレザーにブーツカットジーンズ、さらにウエスタンブーツという着こなしもありました。いままた見直されているようです。こちらの着こなしで穿かれているのはすべて517。
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ところで、70年代に最も人気のあったフレアパンツは、リーバイスのベルボトムジーンズである646だと思われます。裾がより広がったモデル。古着で探してみましょう。
それでは。
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